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和解学叢書 3=政治・外交

国家間和解の揺らぎと深化

講和体制から深い和解へ

編:波多野 澄雄

紙版

内容紹介

20世紀の戦争の後始末は、当事国どうしの平和条約の締結によってなされてきた。こうした「講和体制」から取りこぼされた個人被害の救済、植民地支配責任の解決という、より「深い和解」をもたらす条件とは、どのようなものか。21世紀の和解への道程を探る。

目次

 『和解学叢書』刊行に寄せて[浅野豊美・梅森直之・劉傑・波多野澄雄・外村大・土屋礼子]

 はしがき[波多野澄雄]

第1章「政府間和解」の陥穽――サンフランシスコ講和体制における「植民地主義」の位相[波多野澄雄]
 1 東アジアの脱植民地化と脱帝国化
 2 講和体制の形成と植民地問題
 3 帝国の解体と国籍問題
 4 講和体制の揺らぎ
 5 植民地主義と「和解」

第2章日本社会党と戦後和解――村山談話の「社会党らしさ」[神田豊隆]
  はじめに
 1 「非武装中立」と戦争責任
 2 歴史問題と社会党
 3 村山談話と自社のコンセンサス
  おわりに

第3章「戦後和解」における政治的要因――日本とマレーシア・シンガポール関係を中心に[佐藤晋]
 1 「和解」とはなにか
 2 シンガポール・マレーシアとの「血債」問題
 3 結論

第4章日朝和解の困難――北朝鮮における対日認識[宮本悟]
 1 北朝鮮のナショナリズムの性質とその変化
 2 北朝鮮の最高指導者の対日認識の変遷
 3 現在の北朝鮮での歴史教育
  まとめ

第5章ドイツ=ポーランド間の「和解」のはじまり――一九六〇年代の教会の動きを中心に[川喜田敦子]
  はじめに
 1 第二次世界大戦期の経験
 2 第二次世界大戦後の領土問題
 3 「追放」をめぐるディスコース
 4 一九六〇年代の西ドイツにおけるディスコースの変化
 5 一九六〇年代の変化の意味

第6章アイルランドと朝鮮半島――グローバル・ヒストリーからの観点[半澤朝彦]
  はじめに
 1 地図上のイメージ
 2 地政学的な位置
 3 グローバルなアクセス
 4 人の移動
 5 ソフト・パワー
  おわりに

補章 「和解」交渉の現場から 解説(波多野澄雄)
 和解学のもう一つの視点――ソ連との和解を中心に[東郷和彦]
 東アジアにおける「戦後の和解問題」を考える[谷野作太郎]

 編者あとがき[波多野澄雄]

著者略歴

編:波多野 澄雄
現職:筑波大学名誉教授
専門分野:日本政治外交史
代表著書:『「徴用工」問題とは何か――朝鮮人労務動員の実態と日韓対立』中公新書、中央公論新社、2020年
『幕僚たちの真珠湾』朝日新聞出版、一九九一年/吉川弘文館、2013年
『宰相鈴木貫太郎の決断――「聖断」と戦後日本』岩波書店、2015年
『国家と歴史――戦後日本の歴史問題』中公新書、中央公論新社、2011年
『太平洋戦争とアジア外交』東京大学出版会、1996年

ISBN:9784750353678
出版社:明石書店
判型:A5
ページ数:240ページ
価格:4000円(本体)
発行年月日:2022年02月
発売日:2022年03月17日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JPS