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増補 異文化接触における文化的アイデンティティのゆらぎ

外国語指導助手(ALT)のJETプログラムでの学校体験および帰国後のキャリア

著:浅井 亜紀子

紙版

内容紹介

文化間を移動する個人がどのように文化的アイデンティティを作り、キャリアを進めるか。「外国語指導助手」を手がかりに、個人のミクロな営み(アイデンティティの位置取りプロセス)が、学校環境や制度、歴史といったマクロの次元とどう関係しているのかを、フィールドワークによって解き明かす。増補新版。

目次

 増補版へのまえがき

序章 日本の文教政策より生まれた「外国語指導助手」

第1章 文化的アイデンティティ研究への視座
 第1節 先行研究の検討――異文化体験を中心に
 第2節 本研究の理論枠組みと課題
 第3節 研究方法論と本論文の構成

第2章 語学指導などを行う外国青年招致事業(JETプログラム)――本研究の背景
 第1節 JETプログラム導入の歴史と拡大
 第2節 JETプログラムを取り囲む東洋と西洋の表象

第3章 対人場面と教育場面における位置取り――本国でマイノリティであった外国語指導助手
 第1節 メキシコ系アメリカ人の事例
 第2節 アフリカ系アメリカ人の事例
 第3節 アジア系アメリカ人の事例
 第4節 否定的情動と位置取り――考察

第4章 対人場面と教育場面における位置取りの縦断的変化――本国でマジョリティであった外国語指導助手
 第1節 位置取りのパターン
 第2節 ジェームスの事例(滞在年数2年)
 第3節 ピーターの事例(滞在年数2年)
 第4節 エマの事例(滞在年数1年)
 第5節 位置取りにおける情動緩和のメカニズム――考察

第5章 自己効力感と位置取り――授業での日本人英語教師と外国語指導助手の関係性に注目して
 第1節 ティームティーチングのパターンと外国語指導助手の自己効力感
 第2節 日本人英語教師と外国語指導助手間の関係性――ビデオ分析
 第3節 日本人英語教師のもつ外国語指導助手表象
 第4節 外国語指導助手の教育スキル――その自己効力感と位置取り
 第5節 自己効力感と位置取り――考察

第6章 自己効力感の背景としての学校環境
 第1節 生徒の授業参加態度と自己効力感
 第2節 外国語指導助手に必要とされる教育スキルと自己効力感
 第3節 生徒の授業参加と自己効力感――考察

第7章 位置取りへのマクロ次元の影響――自己効力感を中心に
 第1節 自己効力感と個人要因、および環境要因――量的分析
 第2節 外国語指導助手と日本人英語教師の親密性――自己効力感との関係
 第3節 学校訪問形式とALTの自己効力感
 第4節 日本の学校の管理体制とALTの自己効力感
 第5節 外国語指導助手の位置取りとJETプログラム
 第6節 自己効力感と位置取りに影響する個人・環境要因――考察

終章 新しい文化的アイデンティティ理論の生成――位置取りのゆらぎのメカニズム
 第1節 位置取りにおける主体と環境の相互作用――研究のまとめ
 第2節 位置取りのメカニズムについての理論生成
 第3節 本研究の意義
 第4節 本研究の限界と今後の研究

附章 JETプログラムのインパクト
 第1節 国際移動としてのJETプログラム――研究の位置づけと理論的背景
 第2節 JETプログラム経験者とJET同窓会
 第3節 研究方法
 第4節 元ALTの帰国後のキャリア
 第5節 自己の再編――事例の提示
 第6節 帰国後の自己再編――理論化に向けて
 第7節 JETプログラムの評価と提言

 引用文献

資料
 資料1 外国語指導助手への面接時アンケート(面接冒頭でALTに記入依頼)
 資料2 外国語指導助手への面接スケジュール
 資料3 日本人英語教師への面接時アンケート(面接冒頭でJTEに記入依頼)
 資料4 日本人英語教師への面接スケジュール
 資料5 生徒へのアンケート
 資料6 「生徒の積極性に関わるその他の学校要因」に関する補足的結果
 資料7-1 元外国語指導助手へのインタビュー依頼
 資料7-2 元外国語指導助手への調査協力承諾書
 資料7-3 元外国語指導助手への面接スケジュール

 増補版へのあとがき

 索引

著者略歴

著:浅井 亜紀子
桜美林大学リベラルアーツ学群教授。東京女子大学文理学部英米文学科を卒業後、富士ゼロックス株式会社に4年間勤務、ロータリー奨学生としてサンフランシスコ州立大学スピーチコミュニケーション大学院異文化間コミュニケーション専攻修了、修士(スピーチコミュニケーション)。2004年お茶の水女子大学人間文化研究所人間発達科学専攻博士後期課程修了、博士(人文科学)。カリタス女子短期大学准教授を経て、2009年より桜美林大学リベラルアーツ学群准教授、2016年より現職。
関心領域は、文化心理学、文化的アイデンティティ、コミュニケーション論、異文化コミュニケーション、国際移動と多文化共生。異文化コミュニケーション学会会長(2013年から2017年)。ケンブリッジ大学客員研究員(2018年9月から2019年9月)。International Academy for Intercultural Relations(IAIR)フェロー(2021年より)。
【主著】
『EPAインドネシア人看護師・介護福祉士の日本体験:帰国者と滞在継続者の10年の追跡調査から』(共著、明石書店…

ISBN:9784750353258
出版社:明石書店
判型:A5
ページ数:304ページ
価格:4200円(本体)
発行年月日:2022年01月
発売日:2022年01月28日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JB