なぜ、イスラームと衝突し続けるのか
文明間の講和に向けて
著:内藤 正典
内容紹介
2021年8月、20年にわたる米国とその同盟国のアフガニスタン占領が終焉した。なぜ欧米流の自由や人権は受け入れられなかったのか。アフガン侵攻の危険を訴えた20年前の原書をもとに、その後の西欧とイスラームの関係をたどる章を加えた決定的増補版。
目次
増補版まえがき
1 誰の犯行か?
テロという「戦争」からテロとの「戦争」へ
あいまいな証拠から創られた戦争のレトリック
「誰が犯人か?」―認識のずれ
2 イスラーム組織の犯行ならば、なぜ?
中東・イスラーム世界での不公正
高度な計画を実行した犯人像
3 イスラームとの戦争ではない?
十字軍・無限の正義
イスラーム的不公正の観念
信徒共同体の破壊
教会組織をもたないゆえの一体性
ラマダン月の攻撃がもつ意味
4 イスラーム世界の声は届かなかった
イスラーム世界諸国の動揺
ナショナリズムとイスラーム
5 ナショナリズムへの連鎖反応
マイノリティの異議申し立てもテロ?
パレスチナの抵抗運動はテロか?
6 イスラームの何を誤解してきたのか
イスラーム対キリスト教という誤解
女性の人権とイスラーム
ヴェール、人権抑圧の象徴?
ヴェールのもう一つの意味
イスラーム的刑罰と公正の観念
差別を隠蔽する用語としての「原理主義」
7 この戦争をしてはならなかった
「タリバン以後」に潜む欺瞞
イスラームとアメリカの衝突
イスラーム脅威論がつくりだした「文明の衝突」
8 何をしなければならないか
必要なのは人間を直視すること
ヨーロッパは、なぜイスラームと共生できなかったのか
国家としての日本は何をなすべきか
[増補]イスラーム世界と西欧の二十年
「テロとの戦い」をめぐる亀裂
弾圧を正当化した「テロとの戦争」
ヨーロッパ難民危機と共生の破綻
関係は再建できるか?
文明間の講和に向けて
あとがき
増補版あとがき