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朝鮮近代における大倧教の創設

檀君教の再興と羅喆の生涯

著:佐々 充昭

紙版

内容紹介

すべての韓国人は、檀君の子孫であるという檀君思想を教義の中心にすえる大倧教は、どのように成立したか。独立運動家で大倧教創始者の羅喆と日本の知識人・政治家との交流を横軸に、朝鮮独立運動との関わりを縦軸に描き出す、現在に続く韓国保守思想誕生の軌跡をたどる。

目次

はじめに 大倧教とはどのような宗教か

序章 本書の課題と論点
 一 大倧教の研究史
  (一)歴史学分野での研究
  (二)宗教学分野での研究:韓国宗教学界における「民族宗教」概念の定立
  (三)大倧教系研究機関による研究
 二 本書の研究視点
 三 羅喆の人物像再考

第Ⅰ部 檀君教重光前における羅喆の活動

第一章 朝鮮開化派官僚の日本亡命
 一 金允植と羅喆の師弟関係
 二 金玉均の日本亡命と大陸浪人との交流
 三 閔妃殺害事件における岡本柳之助の行動
 四 開化派官僚の日本亡命と帰国運動
 五 日本亡命時における孫秉煕の政治活動
 六 孫秉煕と朝鮮人開化派亡命者との交流
 七 一進会による高宗皇帝の廃位計画
 八 大韓協会の活動と天道教

第二章 旧韓末における羅喆の訪日活動
 一 羅喆の第一次訪日と民間外交
 二 羅喆の第二次訪日と第三次訪日活動
 三 第三次訪日活動における大陸浪人との接触
 四 乙巳五賊暗殺未遂事件の概要
 五 乙巳五賊暗殺による政府転覆と新政権の樹立計画
 六 李完用内閣の成立と金允植の釈放
 七 高宗の退位と朝鮮人開化派亡命者の政界復帰
 八 羅喆の第四次訪日活動
 九 日本における羅喆の病気治療

第Ⅱ 檀君教重光後における羅喆の活動

第三章 檀君教の重光と白峯集団
 一 羅喆による檀君教の重光と愛国啓蒙思想家たちの加入
 二 檀君教の教理と日本の「国体」論
 三 白峯集団との接触による羅喆の回心
 四 『檀君教佈明書』の発布と白峯集団の存在
 五 旧韓末における神宮奉敬会の神宮建築計画
 六 神宮奉敬会の分裂と朝鮮人の反応
 七 『檀君教五大宗旨佈明書』に記された檀君朝の栄枯盛衰史
 八 創出された民族観念:倍達民族史観の唱導
 九 白峯集団と羅喆の関係
 一〇 言論媒体を通じた檀君教教理の拡散

第四章 教名改称と羅喆の自決
 一 大倧教への教名改称と教理の再編
 二 植民地支配下における教団組織の整備
 三 中国東北部における羅喆の檀君関連史跡調査
 四 間島における羅喆の布教活動
 五 大倧教総本司の間島移転
 六 九月山三聖祠における羅喆の自決
 七 大隈首相と寺内総督へ宛てた羅喆の書簡
 八 羅喆死後における教主継承と葬喪儀礼の挙行
 九 晩年の金允植と大倧教

第五章 羅喆時代に編纂された教典・教書類
 一 大倧教創設初期の経典・教書類
 二 『三一?誥』諸版本と所蔵状況
 三 『三一?誥』の構成と特徴
 四 『三一?誥』本編の内容
 五 羅喆関連経典について
 六 『檀君教佈明書』『大倧教施教文』の日本語訳文

終章 朝鮮宗教史における大倧教の位相
 一 檀君教の重光:創られた朝鮮神教
 二 大倧教の救済論:「ネイション(民族)」による不死性の獲得
 三 羅喆の「殉教」と大倧教の抗日民族独立運動

 初出一覧
 あとがき
 参考文献
 索引

著者略歴

著:佐々 充昭
1964年愛知県生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒業後、大韓民国教育部奨学生として韓国へ渡る。ソウル大学校大学院宗教学科修士課程と博士課程を修了し、2003年に博士学位を取得。現在、立命館大学文学部教授。専門は宗教学、朝鮮近代史、東アジア宗教思想史。
共著に『韓国社会と宗教学』(ソウル大学校出版文化院、2017年)、『間島と韓人宗教』(韓国学中央研究院、2010年)、主要論文に「亡命ディアスポラによる朝鮮ナショナル・アイデンティティの創出-大倧教が大韓民国臨時政府運動に及ぼした影響を中心に」(『朝鮮史研究会論文集』第43集、2005年)などがある。

ISBN:9784750352770
出版社:明石書店
判型:A5
ページ数:584ページ
価格:6800円(本体)
発行年月日:2021年12月
発売日:2022年01月07日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QRR