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エリア・スタディーズ 181

ポーランドの歴史を知るための55章

編著:渡辺 克義

紙版

内容紹介

ロシアと西欧の間に位置し、特に自然の障壁といえる地形のないポーランドは、古来より様々な人々が行き交い周辺国の利害に翻弄され続けてきた。三度の領土分割を経て悲願の独立、そして二度の世界大戦、社会主義からの体制転換を経て今に至る激動の歩みを描く。

目次

 まえがき


第Ⅰ部 〈総論篇〉ポーランド史を見る眼

1 西欧文明とポーランド――西欧文明の境界となった国
2 主権について――国家の主人公は誰か
3 安全保障の問題――「我らが生きる限りポーランドは滅びない」のか
4 ユダヤ少数民族――ポーランドは「両民族共通の祖国」となるか


第Ⅱ部 〈通史篇1〉中世から近世にかけて

5 ポーランド年代記から見る、ポーランド国家建設伝承の意義――ヨーロッパ諸国の国家建設とキリスト教との相関の一典型として
6 ピャスト朝からヤギェウォ朝へ――中世のポーランド
7 東西キリスト教の境界域にて――ポーランド・リトアニアの教会合同
8 17世紀の戦乱――ポーランド・リトアニア国家、領土縮小への序章


第Ⅲ部 〈通史篇2〉近世から近代にかけて

9 近世ポーランドの地方社会と官職――クラシツキ家の例を中心に
10 国王スタニスワフ・アウグストと18世紀後半のポーランド――啓蒙主義、共和国再建、国家滅亡とともに生きる
11 18世紀の国制改革と一七九一年五月三日憲法――近世共和国の国制改革の行方
12 ナポレオン時代のポーランド――独立のための協力か、フランスによる搾取か
13 ポーランド王国と十一月蜂起――政治的ロマン主義の幕開け
14 中世から近代前半にかけての都市ワルシャワ――宮廷都市からブルジョア都市へ
  [コラム1]ワルシャワの街路――名称変更の歴史から
15 1830年代の合衆国亡命への道――ポーランド人亡命者に残されたもう一つの選択肢
16 一月蜂起と社会の変化――ポーランド独立運動の転換点
17 ポーランド人の民族運動と女性解放運動――キュリー夫人によせて


第Ⅳ部 〈通史篇3〉両大戦間期

18 ポーランドの復活そして消滅――生かされなかったチャンス
19 両大戦間期の経済――停滞と開発の試み
20 ロマン・ドモフスキ――建国の父か、反ユダヤ主義者か
  [コラム2]独立記念日のデモに見る急進右派の抬頭――ドモフスキの復権
21 ユゼフ・ピウスツキ――英雄か、独裁者か
22 ユダヤ人政治運動――民族の自立と共存を目指して
23 反ユダヤ主義――追い詰められるユダヤ人
  [コラム3]外務大臣ベックの英ポ同盟――誇りに酔って国を失う


第Ⅴ部 〈通史篇4〉第二次世界大戦

24 占領下のポーランド――ドイツとソ連の占領政策
25 カティン――真実を求める最終章なき闘い
26 イェドヴァブネ事件――ポーランド史の中の加害の歴史
27 ナチ・ドイツの強制収容所――ナチ占領下のユダヤ人の犠牲とポーランド人の犠牲
28 ワルシャワ・ゲットーの記録――歴史家リンゲルブルムの遺志とは
  [コラム4]ロヴェツキ逮捕の周辺――1943年夏、亡命政府陣営の転換点
29 ワルシャワ蜂起――スターリンは蜂起にどう対処したか


第Ⅵ部 〈通史篇5〉ポーランド人民共和国

30 戦後共産政権の成立――「PRL」の起源
31 人民民主主義の実験――新しい体制への夢と現実
32 スターリニズムの時代――一元的支配体制の確立と動揺
33 スターリン期の経済――工業化と農業集団化の強行
  [コラム5]ドイツ人「追放」問題
34 ポーランド現代史におけるウクライナ人――「ヴォウィンの悲劇」と「ヴィスワ作戦」
35 ゴムウカの時代――十月の春から三月事件へ
36 ゴムウカ期の経済――第二次工業化の行き詰まり
37 ギェレク期の経済――借款による高度成長と挫折
38 「連帯」運動――大いなる希望と挫折
39 戒厳令から円卓会議へ――社会主義体制終焉の始まり
  [コラム6]1989年体制転換とロック音楽――新しい時代への転回の原動力


第Ⅶ部 〈通史篇6〉体制転換以降

40 バルツェロヴィチ・プランと体制転換――自由主義への苦難の門出
41 現代ポーランド国家の国境線――カーゾン線とオーダー・ナイセ線
42 体制転換期の政治変動――揺れる政局、揺るがぬ政策
43 EU加盟――ヨーロッパ回帰の期待と不安
44 現代ポーランドの光と影――転機としての2015年?
45 国民記憶院(IPN)――記憶の国営企業


第Ⅷ部 〈テーマ篇1〉ポーランドにおけるローマ・カトリック教会

46 キリスト教への改宗から「カトリック改革」まで――カトリック教を基軸とする国家社会の建設
47 国家滅亡期のカトリック教会――「三国分割」時代の18世紀末~20世紀初め
48 史上初めて資本主義下で活動するカトリック教会――聖ヨハネ・パウロ二世の「残像」に生きる教会


第Ⅸ部 〈テーマ篇2〉ポーランド文化史

49 西ヨーロッパとの融合――共和国期のポーランド王室の宮廷美術と美術収集
  [コラム7]王に愛された美女――ジグムント二世アウグストとバルバラ・ラジヴィウヴナ
  [コラム8]死者の肖像――バロック期ポーランドを映す「棺の肖像画」
  [コラム9]ベルナルド・ベロットとワルシャワ王宮「カナレットの間」
50 ポーランドの近代美術――19世紀末から20世紀初頭、前衛の胎動と進展
  [コラム10]「若きポーランド」の時代――花ひらく世紀末芸術
51 国民教育委員会――「ヨーロッパ初の文部省」
  [コラム11]社会主義時代の亡命作家たち――亡命慣れしたポーランド人
52 カルパティア山系の少数民族ルシン――ウェムコとボイコ
53 ギュンター・グラス――ポーランドにおける受容
  [コラム12]「方言」から「言語」へ――カシュブ語の標準化の歴史
  [コラム13]シベリアにある「ポーランド」の歴史――イルクーツク州ヴェルシナ村
  [コラム14]クレスィの歴史と現在――東部辺境地域における多言語多文化社会
  [コラム15]ポーランド人の名字の歴史――ノヴァク、コヴァルスキ、ヴィシニェフスキ、ヴイチク、コヴァルチク


第Ⅹ部 〈テーマ篇3〉ポーランドと日本

54 日本におけるポーランド文学・語学研究の先達――木村彰一、吉上昭三、米川和夫、工藤幸雄
55 日本におけるポーランド史研究の先達――梅田良忠と阪東宏
  [コラム16]『灰とダイヤモンド』を観る三島由紀夫――日本におけるポーランド映画受容の一片
  [コラム17]『クォ・ヴァディス』を読む野上彌生子――日本におけるポーランド文学受容の一片


 参考文献
 ポーランドの歴史を知るためのブックガイド
 ポーランド史略年表

著者略歴

編著:渡辺 克義
長岡崇徳大学教授
主要業績:『ポーランドを知るための60章』(編著、明石書店、2001年)、『ポーランドの高校歴史教科書【現代史】』(監訳、明石書店、2005年)、『物語 ポーランドの歴史』(中公新書、2017年)。

ISBN:9784750350714
出版社:明石書店
判型:4-6
ページ数:432ページ
価格:2000円(本体)
発行年月日:2020年09月
発売日:2020年09月26日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:NHD
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1DFG