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「発達障害」とされる外国人の子どもたち

フィリピンから来日したきょうだいをめぐる、10人の大人たちの語り

著:金 春喜

紙版

内容紹介

外国から来日し、日本語もよくわからない子どもが「発達障害」と診断され、特別支援学級に編入される。近年日本各地で起こっているこの出来事の背景を、フィリピンから来た2人のきょうだいにかかわった教員ら計10人に対するインタビュー調査を通して探る。

目次

 まえがき

序章 外国人児童の「発達障害」に目を向ける
 第1節 見えなくされてきた外国人児童たち
 (1)外国人児童が直面する困難
 (2)特別支援教育に取り込まれる外国人児童
 第2節 「外国人であること」と「障害児とされること」
 第3節 なぜ「フィリピンから来た子ども」なのか
 (1)「外国人児童」とは誰のことか
 (2)フィリピンから来た子どもたちから見えること
 第4節 2人の外国人児童と、10人の大人たちの経験をめぐって

第1章 日本の外国人児童と「発達障害」の児童
 第1節 外国人を迎える地盤
 (1)90年体制、「包括的な移民統合政策」なき日本へ
 (2)90年体制下での2019年の到来
 第2節 外国人児童を迎える日本の学校
 (1)日本語指導が必要な子どもへのカリキュラム
 (2)誰のための制度か
 (3)「日本人のための」学校教育
 第3節 「発達障害」の児童の教育をめぐる状況
 (1)特別支援教育の対象へ
 (2)排除の論理としての働き
 (3)「発達障害」を疑われる外国人児童の説明

第2章 これまでの外国人児童の「発達障害」
 第1節 外国人児童の「発達障害」の見方
 (1)「発達障害を抱える」外国人児童
 (2)外国人児童の「発達障害」が認められる過程
 第2節 思い込みと見過ごしを越えて

第3章 インタビューの詳細
 第1節 インタビューの方法
 (1)インタビューの概要
 (2)10人に話を聴くということ
 第2節 インタビューの対象
 (1)登場人物たち
 (2)登場人物たちを取り巻く環境
 (3)フィリピンから来るということ

第4章 カズキくんとケイタくんの7つの場面
 第1節 カズキくんの4つの場面
 (1)小学6年生、来日直後の様子
 (2)中学1年生、5組編入まで
 (3)中学2年生から3年生、部活動でのカズキくん
 (4)中学3年生、進路選択
 第2節 ケイタくんの3つの場面
 (1)中学1年生、来日直後の様子と5組編入
 (2)中学1年生から3年生、部活動などでのケイタくん
 (3)中学3年生、進路選択
 第3節 高校進学後の2人
 第4節 10通りの〈現実〉

第5章 外国人児童が「発達障害」になる過程
 第1節 「外国人としての困難」と「障害児としての支援」
 第2節 「発達障害」の役回り
 第3節 介在する語彙
 第4節 善意と温情

第6章 「心理学化」で見えなくなるもの
 第1節 「心理学化」により隠されるもの
 第2節 「心理学化」の過程に見る論点
 (1)医療対象化と個人化
 (2)専門家の役割
 (3)象徴的な意味
 (4)専門家の揺らぎと葛藤
 第3節 外国人児童の心理学化
 (1)医療対象化と個人化
 (2)専門家の役割
 (3)象徴的な意味
 (4)外国人児童の心理学化のメカニズム
 第4節 外国人児童の心理学化の意味

終章 外国人児童の「発達障害」に見る日本社会
 第1節 隠された意図と姿
 第2節 外国人児童の「発達障害」の総括
 (1)見えなかったものの解明
 (2)再検討へ
 (3)「ひとまずの理論」を越えて
 (4)過程への着目、複数の声

 参考文献
 あとがき

著者略歴

著:金 春喜
1995年東京生まれ。京都大学大学院文学研究科修士課程修了、修士(文学)。専攻は社会学。現在、日本経済新聞社の記者。

ISBN:9784750349725
出版社:明石書店
判型:4-6
ページ数:256ページ
価格:2200円(本体)
発行年月日:2020年02月
発売日:2020年02月29日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JNA