平安京と中世仏教
王朝権力と都市民衆
著:上川 通夫
紙版
内容紹介
平安後期から鎌倉初期までの二〇〇年間、平安京は飢饉や戦(いくさ)など、多様な災害をこうむり危機に瀕した。その一方、天皇家や貴族の寺院群建設で平安京は仏教都市化していく。果たして平安京における仏教の拡大は救済の深化たり得たのか。過酷な環境のなか住民自らが獲得した救いの思想はあったのか。仏教史の観点から、平安京が辿った歴史を捉え直す。
目次
中世仏教からみる平安京 プロローグ/Ⅰ 東アジア世界と平安仏教(王朝都市の仏教とその救済力〈『池亭記』と『方丈記』/平安京と池亭/保胤の浄土信仰と空也/保胤の時代の仏式葬送/鴨長明の場合/究極の死骸都市/餓死者の供養とは/隆曉の発想〉/平安京と寺院の配置〈前史としての古代/初期平安京と寺院/摂関期の新動向/京内堂舎の誕生へ―河原院/因幡堂/六角堂/壬生地蔵堂/京に接する新寺院群/王朝都市の生身仏〉以下細目略/摂関期仏教のゆくえ/院政期仏教の創出)/Ⅱ 仏教都市平安京(一日の仏事―嘉保二年九月二十四日/一年の仏事―永久元年/塔に囲まれた平安京)/Ⅲ 新しい仏教の時代(究極の秘密仏事/平安京の民衆と仏教)/内乱とその後 エピローグ