描かれた戦国の京都
洛中洛外図屏風を読む
著:小島 道裕
紙版
内容紹介
室町時代末期、都の姿が一双の屏風に描かれた。そこには名所や風俗ばかりでなく、あたかも戦国ドラマのように、時の権力者たちとその周囲の人々の姿が、生き生きと描かれていた。誰が、何のために描かせたのか。絵師は誰なのか。現存最古の洛中洛外図を中心に細部まで読み取り、屏風製作の背景や時代の様相を探り、読者を謎解きの世界へと誘う。
目次
初期洛中洛外図屏風とはどんな絵画か―プロローグ(四つの初期洛中洛外図屏風/洛中洛外図屏風の誕生/洛中洛外図屏風の構図―「右隻」と「左隻」/描かれた景観/塔上の景色/四季絵の要素)以下細目略/一=歴博甲本を読む(登場人物をさぐる―幕府・細川邸など/コラム・室町幕府はどこにあったか/描かれた武家と公家の屋敷/細川高国の事績と作者/コラム・野外酒宴場面の系譜/伝来について/都市民衆の世界―床屋と両側町/洛中洛外図屏風『朝倉本』に描かれたもの)/二=東博模本を読む(東博模本の背景/描かれた細川邸と幕府/東博模本の制作事情)/三=上杉本を読む(上杉本の成立事情/上杉本の中心主題/洛中洛外図屏風としての特質/都市の風俗と季節)/四=歴博乙本そしてその後(歴博乙本の特色/洛中洛外図屏風のその後)