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歴史文化ライブラリー 544

気候適応の日本史

人新世をのりこえる視点

著:中塚 武

紙版

内容紹介

古来、人びとは気候変動にどのように適応してきたのか。近年、急速に発展している年単位での古気候の復元研究で明らかにされた最新データと史資料を照らし合わせて、数年・数十年・数百年周期の気候変化のスピードが、いかに社会に影響を与えたかという視点で描く初めての通史。昨今の地球環境問題を考えるうえで、気候適応史研究の重要性を説く。

目次

古気候学と日本史の新たな出会い―プロローグ/地球温暖化と気候適応史の研究(現代人に問われているもの―温暖化への対応/古気候学の三つの任務と一つの可能性/気候適応史の潜在的な役割)/人間にとって気候とは何か(そもそも気候とは何か/短期変動―日常生活を支配するもの/長期変動―人類を運命づけたもの/中期変動―未知のサイクルとその影響/これまでの古気候復元とあるべき姿)/古気候データの世界と日本での急速な拡充(古気候学とは何か―これまでの経緯と近年の発展/年輪気候学の特徴と日本における課題/あらゆる周期の気候変動を復元する!/長期~短期の気候変動と史資料の比較)/「長周期」変動への日本列島の人々の適応(水田稲作の伝来と列島内の伝播―縄文~弥生/気候湿潤化と初期国家形成―弥生~古墳/降水量の長期変動と遷都―古代/大干ばつを契機とした荘園制への転換―平安/小氷期の厳しい気候下での国土開発―江戸)/「中周期」変動への日本列島の人々の適応(数十年周期の変動が飢饉や紛争を生む―平安~江戸/なぜ人間社会は数十年周期変動に脆弱なのか―一般/江戸/数十年周期変動の振幅増大と時代の転換―弥生~江戸)/「短周期」変動への日本列島の人々の適応(領主と農民の意志決定の背景―室町/生産力の向上への取り組み―江戸/年単位の考古学研究の可能性―弥生~古墳)/気候と歴史の関係から何を学ぶか(気候変動と技術・制度革新の相同性/なぜ気候適応に着目するのか/気候適応の成功と失敗に学ぶ)/人新世をのりこえる知恵蔵としての歴史―エピローグ

著者略歴

著:中塚 武
1963年、奈良県生まれ。1986年、京都大学理学部卒業。1991年、名古屋大学大学院理学研究科博士後期課程単位取得退学。現在、名古屋大学大学院環境学研究科教授、博士(理学) ※2022年2月現在
【主要編著書】『気候変動から読みなおす日本史(全6巻)』〈編〉(臨川書店、2020~21年)、『酸素同位体比年輪年代法―先史・古代の暦年と天候を編む―』(同成社、2021年)

ISBN:9784642059442
出版社:吉川弘文館
判型:4-6
ページ数:256ページ
定価:1800円(本体)
発行年月日:2022年03月
発売日:2022年02月19日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:NHF
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1FPJ