歴史文化ライブラリー 514
顔の考古学
異形の精神史
著:設楽 博己
紙版
内容紹介
土偶・仮面・埴輪・土器など、縄文時代から律令期にかけて作られた〈顔〉を意匠とするさまざまな造形品。抜歯やイレズミの顔面加工、笑いや怒りの誇張表現、耳飾りや髪形など、豊富な事例を素材に、考古学的研究手法で分析。古人(いにしえびと)の〈顔〉に対する意識の変化とその社会的背景を明らかにし、そこに込められたメッセージ、異形(いぎょう)の精神世界をさぐる。
目次
歌に詠まれた纏向仮面―プロローグ/日本最古の妖怪画(アヨアヨ考/古代の鬼/一つ目墨書土器の考古学的解釈)/方相氏と「鬼は外」の起源(方相氏の節分祭/方相と方相氏の文献と造形/盾持人埴輪をめぐって/邪馬台国時代の方相氏)/黥面考 顔のイレズミの歴史(『魏志』倭人伝と三世紀の黥面絵画/『古事記』『日本書紀』の黥面と文身/人物埴輪の顔の線刻はイレズミか/イレズミと中華思想/イレズミの遡源と展開)/縄文土偶の顔(縄文人の通過儀礼/土偶の誇張表現/縄文人はなぜ巨大な耳飾りをつけたのか/出産土偶の顔)/弥生時代の顔の表現(分銅形土製品の笑い顔/鳥装と非黥面起源/土偶形容器にみる男女の表現/顔壺にさぐる黥面の継承と変容)/異形の精神史―エピローグ