日本古代都城の形成と王権
編:重見 泰
紙版
内容紹介
古代の王宮は天皇の支配体系を顕示する舞台装置であった。飛鳥の諸宮を中心に難波宮などと比較し、殿舎の成立時期と機能を探り、藤原京に至る都城の造営計画を考察する。さらに飛鳥の広域空間を捉え、水の祭祀や陵墓の配置からも王権の正統性の主張を読み解く。天皇が抱いた王権の構想とそれを具現化する律令制都城の形成過程を新たな視点で描く。
目次
序章 古代史研究と考古学/飛鳥宮の構造(飛鳥宮跡の変遷〈従来の飛鳥宮跡の遺構変遷と王宮比定/飛鳥・藤原地域の土器編年/飛鳥宮跡の遺構変遷と造営年代の再検討/東南地区の復原/飛鳥宮跡の変遷〉/後飛鳥岡本宮の構造と飛鳥浄御原宮の成立〈飛鳥宮の変遷と構造/後飛鳥岡本宮と飛鳥浄御原宮の殿舎比定/飛鳥浄御原宮の二つの正殿〉/難波長柄豊碕宮から後飛鳥岡本宮へ〈後飛鳥岡本宮と飛鳥浄御原宮の構造/難波長柄豊碕宮の構造復原/後飛鳥岡本宮への継承〉おわりに―天武朝の都城造営と難波宮〉以下細目略)/律令制都城の形成(新城の造営計画と藤原京の造営/王宮の変遷と律令制都城の形成/古代王権の正統性)/王権と王陵・空間構造(飛鳥の神名火と「飛鳥」/附論 飛鳥と古代王権/王権の正統性と飛鳥の陵墓群/『日本書紀』の用語の一貫性―「殯」の使用法)/終章 都城・王権研究と考古学