近世の気象災害と危機対応
凶作・飢饉・地域社会
著:菊池 勇夫
紙版
内容紹介
気候変動により、寒冷期には激しい凶作・飢饉に見舞われた近世日本社会。温暖期にも視野を広げ、人々は気象災害といかに格闘し、飢えの教訓から後世に何を伝えたのか。地域に残された多様な記録史料を紐解き、先行研究とも対話を重ねながら、気象災害と飢饉の関連や、災害下に生きた人々の営みを解明する。飢饉史研究のこれからの視座を示す一冊。
目次
序章 近世の凶作・飢饉と地域社会/Ⅰ 気候変動・災害と地域社会(気候変動と凶作・飢饉―北奥八戸藩を例に〈損毛高にみる気象災害/損毛(凶作)年と飢饉年/石高・人口・馬数と凶作・飢饉〉/天候・作柄と穀物相場―奥州一関城下商人の記録にみる天明の飢饉〈天候と作柄/穀物相場の推移と地域社会の動き〉以下細目略/稲の品種と冷害対応―東北地方の近世稲作/名子制度・刈分小作と凶作・飢饉―研究史を読み直す)/Ⅱ 飢饉と人口・社会変動(北東北の人口史料にみる天明・天保の飢饉/江戸に向かう奥羽飢人―天保七・八年を中心に/北関東の凶作・飢饉記録が伝える「用心」―奥羽飢饉からの教訓)/Ⅲ 地域社会の危機と備荒(仙台藩における備荒貯蓄論の展開/備荒貯蓄と地域社会―仙台藩磐井郡西岩井の場合)/終章 飢饉の記憶と近現代