情報覇権と帝国日本 Ⅲ
東アジア電信網と朝鮮通信支配
著:有山 輝雄
紙版
内容紹介
朝鮮半島への侵出をはかる日本は、それに先立ち情報通信の掌握を構想したが、自力で電信線を敷設する力をもたなかった。デンマーク大北電信の利害、朝鮮の抵抗、清国・ロシアとの力関係が絡み合う中で、日本は西欧依存から脱却し、自立的な通信支配をめざす。日本の東北アジア通信覇権形成に至るまでの外交の過程をたどる、日朝関係の情報通信史。
目次
序章 東アジアの通信覇権と帝国日本/第一期 西欧資本への依存による拡大政策(大北電信会社への独占権付与と朝鮮への海底電線〈壬午軍乱前後の海底電線気運/大北電信会社との交渉/日本政府の対朝鮮交渉方針/漢城での交渉〉以下細目略)/朝鮮清国間電信線架設と日本の独占権断念/漢城―釜山線問題と東北アジア電信網の水面下せめぎ合い)/第二期 拡張と依存の矛盾(日清戦争開戦と朝鮮電信問題/朝鮮電信支配永続化政策とその混迷/日露の利権分有と朝鮮電信/自立的拡張への胎動/韓露間電信線接続をめぐる日韓露清関係)/第三期 依存的拡張から自立的拡張へ(日露戦争による韓国通信機関占領と韓国通信機関併合/対馬―釜山線の買収と東北アジア通信覇権)