海と山の近世史
著:泉 雅博
紙版
内容紹介
近世の海村と山村に生きた人々は、海や山をどのように暮らしに取り入れてきたのか。能登の時国家による廻船業、加賀藩の「頭振」と称された人々の廻船・商業・金融に及ぶ活動、甲斐の林業・狩猟などから生活の実態を描く。飢饉下でも遊楽と共存しながら、生産流通社会の一角を担っていた百姓の姿を読み解き、近世社会の新たな歴史像を提示する。
目次
序章=本書の課題と構成、そして展望(執筆の経緯/戦後史学の歩みのなかで/課題と構成/展望―近世社会の歴史像をめぐって)/海の発見(能登と廻船交易〈能登と時国家/湊の景観と機能/廻船交易の担い手/廻船と湊のゆくえ〉以下細目略/無高民の存在形態/時国家と北前船交易/付論一 水呑像再考の視点/付論二 北からの便り)/海と交易(海村と海域/海村と日本海交通/海村の都市的展開)/山と交易(山村と林産物交易/塩の流通と起業/付論一 飢饉と遊楽/付論二 猟師と狩猟)/終章にかえて―原体験としての戦後史学―(歴史意識の現在―戦後歴史学と社会史/戦後歴史学とともに…長倉 保先生/戦後歴史学からの挫折のなかで…網野善彦先生/戦後歴史学と網野史学とのはざまで―戦後史学後をみすえて)