近世の神社と朝廷権威
著:井上 智勝
紙版
内容紹介
幕藩体制に組み込まれ、無力であったとされてきた江戸時代の天皇・朝廷。しかし、その権威はすでに一九世紀以前から上昇・自立の胎動の中にあった。幕府に承認された神職の本所吉田家をめぐる動向に即して、幕藩の宗教政策や近世思想・公家社会の展開を踏まえながら検討を行ない、近世における「伝統的」権威の展開過程を明らかにする。
目次
序論=本研究の関心と研究史的位置(研究史および方法論/本研究の構成)/第一編=神祗管領長上吉田家(室町期の吉田家と神祗官〈「神祗管領長上」をめぐる研究史/吉田兼倶の活動/「神祗管領長上」/室町期の吉田家と神祗官〉/神道裁許状と諸社禰宜神主法度〈戦国~江戸初期の吉田家の正当性/神道裁許状/諸社禰宜神主法度〉以下細目略/宗源宣旨/鎮札・守)/第二編=吉田家批判の展開(伝奏附神職の増加/吉田家批判の思想と論理/神位宗源宣旨の発給停止/神祗伯白川家の台頭)/第三編=神職本所の拮抗と在地神社(在地社会における神職官