中世王権の形成と摂関家
著:樋口 健太郎
紙版
内容紹介
中世において天皇・王家は本当に摂関家から自立していたのか。天皇を補佐・後見する摂関の職掌に着目することで、むしろ王家が摂関家と未分化で一体的な関係にあった事実を明らかにする。さらに従来、別々に論じられてきた摂関家・王家について、王権全体の枠組みの中で問い直し、院政の展開や、保元の乱、摂関家分立などについて新見解を示す。
目次
序章 本書の視角と課題/院政期の王権と摂関家(中世前期の摂関家と天皇〈天皇後見と外戚/中世摂関家の成立/院政期の王権構造とその矛盾/鎌倉時代の摂関家と天皇〉/白河院政期の王家と摂関家―王家の「自立」再考〈白河院政期における摂政忠実/摂関家の確定と院〉以下細目略/居所からみた白河・鳥羽院政期の王権/「保安元年の政変」と鳥羽天皇の後宮)/転換期の摂関家―保元の乱から分立へ(保元の乱前後の摂関家と家政職員/藤氏長者宣下の再検討/藤原忠通と基実―院政期摂関家のアンカー)/摂関家九条流の形成と発展(摂関家九条流の形成と女院/八条院領の伝領と八条良輔/補論 藤原忠実の追善仏事と怨霊/摂関家九条流における「家門管領寺院」の継承と相論)/終章 本書の成果と展望