中世国衙領の支配構造
著:錦織 勤
紙版
内容紹介
中世の国衙領支配とはどのようなものだったのか。大田文などを素材に、郡郷と別名が並列の支配単位とされてきた通説を再検討し、それぞれが入り組みあって存在し、かつ重層的な支配関係にあったことを検証。さらに中世的郡郷の成立過程や別名の形成、国使の性格などの諸問題にも説き及び、広い視野から新たな国衙領支配の実態を明らかにする。
目次
第一部=中世前期における郡・郷と別名の重層性(若狭国太良荘地頭職の系譜について―若狭国における郷と別名の関係―〈太良荘地頭に先行する職について/若狭国国衙領における郷と別名の関係について/太良荘地頭の成立をめぐる若干の問題について/太良荘地頭職の固有の権限について〉以下細目略/大田文記載様式の諸類型と別名概念の再検討/大田文の重層型記載と並列型記載―常陸国の二つの大田文を事例に―/中世前期における国衙領支配体制の構造)/第二部=平安末期における安芸国高田郡の郡と郷(平安末期の郡司と郷司―安芸国高田郡を事例