出版社を探す

UTCP叢書 4

歴史のディコンストラクション

共生の希望へ向かって

著:小林 康夫

紙版

内容紹介

〔UTCP叢書〕「未来」での好評連載「思考のパルティータ」27回分に、関連する講演・論述を増補した著者の最新論集。さまざまなジャンルや学問と交流しながらたがいに越境し、共生していく現代哲学の最尖端を疾走しつつ、迷走する資本主義の彼方に〈歴史の真理〉を読み取ろうとする著者の思考は、個人の「主体」を問い直し人類の「共生の地平」から新たな実存を紡ぎ出そうとする。次世代へ向けて哲学的思考のリミットを切り開こうとする渾身の希望の哲学!

目次
I 〈歴史の真理〉の方へ
II 間奏曲(1)――重力と〈否〉!
III 人間の諸目的=終わり
IV 存在の根源的契約――「出エジプト記」をめぐって
V 間奏曲(2)――坂口安吾と共同体の原光景
VI 人間の終わりという希望
VII 幽霊への随伴――遭難の哲学
VIII 資本を問う――ポストーンへの応答
IX メタ哲学としての佛教――バリローチェ講演
X 佛教の方へ、おそらく
XI 非人間的なものについて
XII 真理は政治的である――パリ「哲学と教育」フォーラム
XIII 間奏曲(3)――梟のリトルネロ(BESETOカンフェランス)
XIV 能力
XV 資本主義の「哲学」――人類のポリティックス
XVI 「カフカは聖人だったか?」――断食芸人の聖別
XVII 疲労と真理――モーリス・ブランショの〈限りなき対話〉
XVIII 政治的なものの主体について――パリ講演
XIX 資本主義の〈真理〉の彼方
XX 〈新しい人〉に向かって――台北講演
あとがき

目次

I 〈歴史の真理〉の方へ
   歴史内存在と救済
   モデルニテと来たるべきもの
   実存の周縁からの転回
   速度の時代――電気に出会うことの不可能性
   意味としての共同性
   グローバリゼーション=無意味の共同性
   技術と生命の「あいだ」
   人類生存の危機
   量の災厄・思考の無力
   放下と秘密
   デザインの思考とその余白
II 間奏曲(1)――重力と〈否〉!
   ニーチェの軽さ
   ブランショの〈否(ノン)〉!
   亡命と伴侶
   起源の名を開く
   補論 モーリス・ブランショ 超越と拒絶――公共空間の根拠と可能性
III 人間の諸目的=終わり
   人間と目的=終わり
   途上の存在と歴史
   資本主義、一般化された競争
IV 存在の根源的契約――「出エジプト記」をめぐって
   モーセ、二重の父の物語
   「いま」の召喚
   「わたしは誰なのか?」
   憑在そして契約
   杖=蛇
   エヒイェ・アシェル・エヒイェ
   《-h-h》(息の割礼)
   荒野の漂泊、あるいは「まだないものとしてある」
   荒野の契約(十誡)
   憑在の存在神論
   補論1 《-h-》の割礼、アブラハムをめぐって
   補論2 「神の顔」から遠く離れて
V 間奏曲(2)――坂口安吾と共同体の原光景
   歴史の原・光景
   「人間」の誕生
   無名の共同体と決断
   国家の根源的パラドックス
VI 人間の終わりという希望
   「世界の終わり」と「歴史の終わりなさ」
   「神学的-政治的断章」(ベンヤミン)
   理性というデモーニッシュな自然
   井戸の底にしゃがみこんでいる私
VII 幽霊への随伴――遭難の哲学
   デリダvsベンヤミン
   幽霊の方へ
   キセキgozoCine【※eにアクサンテギュ】
   映画の虚構化、ずれ現われること
   「プール平」
   nobodyとともに
   遭難あるいはダンス
   水なき水底の青
VIII 資本を問う――ポストーンへの応答
   歴史の主体としての資本
   労働・価値・商品
   労働をめぐって
   投企=投機の時間
IX メタ哲学としての佛教――バリローチェ講演
   哲学の限界への問い
   哲学と佛教
   実存からの脱出
   もうひとつの「人間」――意味の彼方
   限界線の分有
   終末論からの垂直的な脱出
   歴史という責任
   「無」の希望
   脱構築を「行」する
X 佛教の方へ、おそらく
   1 存在を渡る――末木文美士氏へ
   2 苦・行・無明――宮川敬之氏へ
   3 無の祈り――丘山新氏へ
XI 非人間的なものについて
   歴史と魂との媒介――J=F・リオタール『非人間的なもの』
   インファンスのフィギュール
   抵抗のポリティクス
XII 真理は政治的である――パリ「哲学と教育」フォーラム
   大学の危機――「資本としての真理」
   真理は政治的である
   責任がないものに対する責任
XIII 間奏曲(3)――梟のリトルネロ(BESETOカンフェランス)
   童謡というリトルネロ
   意味の手前
   彼方
XIV 能力
   享楽の存在論――資本主義と危機
   二〇〇八年、歴史の転回点
   資本主義の原理
   能力
   消費(享楽)の「哲学」
   資本主義を補完する国家
XV 資本主義の「哲学」――人類のポリティックス
   時間の世俗化
   終末の分散化
   人類のポリティックス
   〈新しい人〉の方へ
XVI 「カフカは聖人だったか?」――断食芸人の聖別
   同時代性の波
   新しい「聖人」の誕生
   自己欺瞞を突破する
   藁くずの光
XVII 疲労と真理――モーリス・ブランショの〈限りなき対話〉
   疲労の真理
   pas――決定的な中断
   〈無関係〉という出来事
   友情そしてニュートラルなもの
   もはや神ではない、常軌を逸した非法のなにか
   自分に無関係ななにかとともに生きる
   思考することの義務
XVIII 政治的なものの主体について――パリ講演
   主体の問いを保持し、かつ同時に廃棄する
   〈強い主体〉への批判
   〈弱い主体〉への随伴
   〈人類の終わり〉への想像力
   「バナールな哲学」
   哲学と現実
   暴力の弁証法
XIX 資本主義の〈真理〉の彼方
   垂直性について
   主体という権力
   自然もまた死んだ(?)――人類という「怪物」
   思考の希望
   「資本主義を讃えて」(アラン・ジュランヴィル)
   ラカンの「四つのディスクール」
   主人なきディスクール
   ヒステリーのディスクール
   大学(知)のディスクール
   文学のディスクール
   「歴史の欲望」の「真理」
XX 〈新しい人〉に向かって――台北講演
   1 歴史の転回
   2 どんな主体?
   3 「新しい人」のポリティクス
あとがき

ISBN:9784624011819
出版社:未来社
判型:4-6
ページ数:308ページ
定価:2400円(本体)
発行年月日:2010年03月
発売日:2010年03月10日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QDX