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Minerva 21世紀ライブラリー

道元の哲学

『正法眼蔵』を読み解く

著:小坂 国継

紙版

内容紹介

道元の『正法眼蔵』で取り上げられるテーマは、真理・実在・心・自然・時間・生死・因果・修行・証悟など多領域にわたっているが、結局のところ、「自己とは何か」すなわち「父母未生以前の本来の面目は何か」という問題に集約される。道元は「覚」〈さとり〉の境位から現実の世界を「仏性」自身のあらわれとして、いいかえれば無差別・平等の真実そのものの世界として描き出す。
本書において、仏教的というよりもむしろ日本的ともいうべき道元思想の精髄が、親鸞・本居宣長・西田幾多郎等の思想との比較・対

目次

まえがき

序 章 道元の哲学と『正法眼蔵』
 1 道元の生涯
 2 「弁道話」と天台本覚思想
 3 道元の哲学の性格

第一章 真理論――「現成公案」を読み解く
 1 「現成公案」とは何か
 2 諸法の仏法なる時節
 3 自己をはこびて万法を修証するを迷とす
 4 身心を挙して色を見取し、声を聴取する
 5 仏道をならふといふは、自己をならふなり
 6 人、はじめて法をもとむるとき
 7 たき木、灰となる
 8 人のさとりをうる、水に月がやどるがごとし
 9 身心に法いまだ参飽せざるには
 10 以水為命、以空為命
 11 得一法通一法、遇一行修一行
 12 風性常住、無処不周

第二章 実在論――悉有は仏性なり
 1 仏性とは何か
 2 汝無仏性――道信と弘忍の仏性問答
 3 嶺南人無仏性――弘忍と慧能の仏性問答
 4 人有南北、仏性無南北
 5 趙州狗子話(一)――狗子無仏性
 6 趙州狗子話(二)――狗子有仏性
 7 蚯蚓斬為両段話

第三章 時間論――有時の而今
 1 有と時
 2 有時高々峰頂立、有時深々海底行
 3 われを排列しおきて尽界とせり
 4 仏法をならはざる凡夫の時節
 5 三頭八臂は、きのふの時なり、丈六八尺はけふの時なり
 6 有時に経歴の功徳あり
 7 ねずみも時なり、とらも時なり
 8 おほよそ籮籠とどまらず有時現成なり

第四章 自然観
 1 自己と自然
 2 而今の山水は古仏の道現成なり
 3 青山常運歩
 4 聞渓悟道の因縁
 5 庭前栢樹子
 6 水中の月の如し
 7 清浄本然、云何忽生山河大地

第五章 生死観
 1 生と死
 2 諸仏の大道
 3 生死は仏性の大機大用である
 4 生と我、舟と人
 5 生也全機現、死也全機現
 6 生死の中に仏あれば生死なし
 7 生死は仏の御いのちなり

終 章 道元と西田幾多郎、あるいは日本の哲学
 1 道元と西田幾多郎
 2 真正の自己の探究
 3 記紀や万葉集における惟神と随順の思想
 4 親鸞と自然法爾
 5 「おのづからしからしむる」と「おのづからしからしめらるる」
 6 道元の自然観
 7 本居宣長と「物のあはれ」
 8 物にゆく道
 9 日本の思想の特性
 10 新しい主体性
 11 個性の問題

あとがき 
人名・事項索引

著者略歴

著:小坂 国継
日本大学名誉教授

ISBN:9784623096534
出版社:ミネルヴァ書房
判型:4-6
ページ数:288ページ
定価:3500円(本体)
発行年月日:2024年03月
発売日:2024年03月01日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QRFB