まちづくりによる介護予防
「武豊プロジェクト」の戦略から効果評価まで
著:平井 寛
著:竹田 徳則
著:近藤 克則
内容紹介
愛知県武豊町の憩いのサロン事業は「アクセスの改善」「多彩な(活動)メニュー」「自主的な運営と支援」という3つのコンセプトで地域全体に介入するポピュレーション戦略と適切な効果評価を基に、住民が主体となって特色ある発展を遂げた全国でも稀有な事例である。本書では、基盤となった「ハイブリッド介護予防戦略」(トップダウン型で開始しボトムアップ型に移行させる戦略)の立案から介入プロセス、効果評価までを丁寧に解説。また、他の地域でも取り入れられるよう、住民への説明やサロン設置に向けた活動の実際、新規参加者を排除しない工夫、この事業によって地域・住民に生じた変化、職員やボランティアの活動内容と活動に要した時間、費用に関するデータも掲載。武豊プロジェクトのノウハウを網羅した一冊。
目次
まえがき
序 章 データが明らかにした厳しい介護予防の実状──対策の糸口としての「もう一つの戦略」・武豊プロジェクト
1 不十分だった介護予防──「もう一つの戦略」が求められた理由
2 自分たちのデータで現状を認識する──武豊プロジェクトへ
第1章 参加しやすさを重視し地域を変える戦略
1 武豊町は特別な町か
2 地域全体で介護予防──地域のつながり(ソーシャル・キャピタル)を豊かに
3 敬老堂(韓国)の手法の導入
4 サロンプロジェクトのメリット──参加しやすさ
第2章 住民が主役となる「活動づくり」──「憩いのサロン」の設立プロセス
1 関係者を集めながら具体化する
2 ハイブリッド型戦略の立案──ボトムアップだけでもトップダウンだけでもなく
3 「主役」となる住民を集める
4 住民の主体性を引き出す
5 行政による支援──協働のプロセスを通じて信頼関係を構築する
第3章 「憩いのサロン」の取り組み──町内全体へ活動効果を波及させるための多数の会場とプログラム
1 「憩いのサロン」とはどのような活動か
2 サロンの参加者の特徴──一般参加者・ボランティアリーダー
3 サロン会場で提供されるプログラム──多彩な会場・プログラムで参加者を増やす
4 「通いの場」サロンなどのボランティアによる準備回数と時間はどれくらいか──武豊町及び他4市の状況
5 サロンの立ち上げから住民委託までの過程──限られた人手で多数の会場を立ち上げるために
6 「憩いのサロン」事業における運営ボランティア研修の紹介
7 サロン事業にかかるコスト──業務内容と時間・費用
8 新型コロナウイルス流行期の憩いのサロン──再び多くの参加を得られるように
第4章 「憩いのサロン」の事業評価──その必要性と手法
1 なぜ評価が必要か
2 評価の方法──スモールステップで評価する
3 サロンの成果はどのように評価されたか
4 評価はなぜ可能だったか
第5章 地域づくりによる介護予防の理論と評価
1 介護予防政策への寄与
2 ソーシャル・キャピタル研究としての「武豊プロジェクト」
3 効果評価の方法と結果
終 章 国の介護予防政策と他の自治体への波及効果──武豊プロジェクトの成果と課題
1 サロン活動はなぜ成果を上げたのか
2 今後の介護予防における意義
あとがき
索 引
コラム
1 論文かプロジェクトか
2 敬老堂
3 保健師小林さんの葛藤
4 特定高齢者もボランティアとして活躍
5 武豊プロジェクトとJAGES
6 ソーシャル・インパクト・ボンドとPFS
ISBN:9784623096305
。出版社:ミネルヴァ書房
。判型:A5
。ページ数:260ページ
。定価:2800円(本体)
。発行年月日:2024年04月
。発売日:2024年04月09日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JKS。