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統合広告論[新版]

実践秩序へのアプローチ

著:水野 由多加

紙版

内容紹介

エンジニアリングで言う「すぐに役立つことはすぐに役立たなくなる」ことが広告にも当てはまる時代に、技術を使いこなす「思考する人間性」のある広告ビジネスを論じ、「企業の長期の利益」と広く社会の「広告価値」を指し示す。稀代の実践理論書、待望の令和の決定版ついに公刊。

目次

はじめに

第1章 広告の構造と過程
   1 広告とは何か
   2 IMC の一側面
   3 広告が非物理的であるという認識
   4 広告の構造についての議論の精緻化
   5 IMC マネジメントへのインプリケーション

第2章 くまモンは広告か?──「広告の定義的認識」の背後
 はじめに
 1 ゆるキャラは広告である
   1 ゆるキャラが広告である根拠
   2 ゆるキャラが広告でないとする根拠
   3 日本語の「広告」にゆるキャラを含めていいのか
 2 ゆるキャラを含む「広告」を一般化する
   1 一般化の必要性と可能性
   2 どのような現象を過渡期と呼ぶのか
   3 問題の構造
 3 20世紀の残滓としての「数」論理への過度の信仰

第3章 広告効果とは販売効果のことか
 1 モノを買うとは簡単なことか
   1 モノを買うとは簡単なことか
   2 エピソードとしての「マーク」
   3 エピソードとしての「受け手の能動性」
   4 本来のダグマーが常識となったカスタマージャーニー
   5 CRM,MA,アトリビューション
 2 販売促進と広告の差は付加価値である──SDLパースペクティブ広告効果へのアプローチ
   1 購買経験・購買の場における「行間」という付加価値
   2 古くて新しい「行間」の説得力
   3 広告効果に「行間」を位置づける
   4 「行間」の仮設によって再認識される広告効果
 3 ネーミングライツは21世紀の新現象
   1 ネーミングライツの価値の源泉としての広告効果から
   2 スポーツ・文化施設の高額な契約金額
   3 命名とは「自覚の外」をうまく言い表した場合理解され定着しやすい
   4 諸学とブランド研究の抽象化
   5 ディズニーランドのスポンサーと「神戸コロッケ」の違い
 4 ネーミングは「広告一般に通じるロジック」を説明する──ネーミングライツの意義と公共性
   1 ネーミングは広告である
   2 数の論理,和の論理,積の論理
   3 「付けた名前」でも「付けられた名前」でもないことが感じさせること
   4 ネーミングライツの意義と公共性
 5 インテグレーションモデル
   1 既存研究や実務との関係
   2 広告効果の枠組みの拡大
   3 広告計画ツールとしてのインテグレーションモデルの理解
   4 実践,専門,イニシアティブ
 6 広告とブランド
   1 ココロを動かすことがブランド
   2 NHK「プロジェクトX」という番組
   3 ワールド・カップというスポーツ・イベント
   4 感情──外部から来るもの
   5 感情──隠された「広告効果」
   6 「感情労働」という視点
   7 結論とインプリケーション

第4章 広告の計画
 1 デジタルシフト──広告環境の激変と対応
   1 デジタルシフトは宣伝部変化の一大過渡期
   2 IMCの組織能力(ケイパビリティ)
   3 宣伝部長に中長期期待されていること
   4 CMO(チーフ・マーケティング・オフィサー)への注目
   5 CMOの問題と宣伝部長の強み
   6 大規模組織以外への示唆
 2 インターネット広告計画の闇──アドフラウド問題への対応を
   1 アドフラウドとは何か
   2 「広告費の損失」であって「反社会的勢力あるいはテロへの資金流出」ではないのか
   3 様々な認識の差異
   4 おわりに

第5章 広告の手段・手法
 1 広告表現の現代略史──社会的コミュニケーションへの溶解
   1 コンセプト──広告表現の大回転
   2 「コードのズレ」を示したベネトン
   3 広告表現の社会的コミュニケーションへの溶解──「あの手・この手」
   4 「広告論理そのもの」の曲がり角
 2 広告の手段・手法──デジタルを中心に
   1 新手法への挑戦
   2 「史上初「日本初」
   3 オウンドメディア(Owned Media)とアーカイブス
   4 PDCAは「工場の生産性向上運動」のツール
   5 MA,SFA,CRMもコミュニケーションである
   6 新しい視野,価値との出会い,あるいは欲しいものと出会えそうな期待

第6章 広告と社会
 1 広告はどのような社会問題と認識されているのか──3つのビッグ・テキスト・データベースの三角測量から
   1 「広告と社会」をいかに可視化するか
   2 作業の概要
   3 NDL-OPAC の観察と結果
   4 国民生活センター相談データベース「PIO-NET」の観察
   5 朝日新聞社記事データベース『聞蔵Ⅱ』1985~2010年の26年分の観察
   6 考察と結語
 2 情報環境権の構想
   1 はじめに
   2 広告の「社会問題」から「情報環境」への回路
   3 「情報環境」についての自由と権利の考察
   4 おわりに

おわりに
初出一覧
参考文献
事項索引

著者略歴

著:水野 由多加
2024年4月現在
関西大学社会学部教授

ISBN:9784623095421
出版社:ミネルヴァ書房
判型:A5
ページ数:272ページ
定価:2800円(本体)
発行年月日:2024年04月
発売日:2024年04月15日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KJS