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行政改革の国際比較

NPMを超えて

著:C・ポリット
著:G・ブカールト
他監:縣 公一郎

紙版

内容紹介

民間企業の経営手法を公共部門に適用し、効率化・活性化を図るニュー・パブリック・マネジメントによる行政改革は、1980年代から国際的潮流となった。以降、各国は新ウェーバー型国家、ニュー・パブリック・ガバメントなど、NPMをそれぞれの行政の特徴に合わせて取り込みながら、多様なモデルを構築していった。これらの行政改革はどのような効果をもたらしたのか。今後の国家行政はどのような将来像を描くべきなのか。
原著:Christopher Pollitt, Geert Bouckaert, Public Management Reform: A Comparative Analysis - into the Age of Austerity(4th edtion), Oxford University Press; 2017.(初版2000年、第2版2004年、第3版2011年)

目次

第4版はしがき
日本語訳への序文

第1章 比較公共マネジメント改革――中心論点の紹介
 1.1 目 的
 1.2 射 程
 1.3 この領域での最近の議論
 1.4 公共マネジメント改革は,1950年代及び1960年代に比べ,なぜはるかに重要な問題となってきたのか?
 1.5 改革の主要路線は何であったのか?
 1.6 公共部門マネジメント特定手法への世界的収斂は存在したのか?
 1.7 国際的には,NPM はどの程度成功したのか?
 1.8 NPM以外の他のモデルは,影響力を持ちえたのか?
 1.9 ネットワーク
 1.10 いわゆる政府から「ガバナンス」へのシフトの意義は,何であるのか?
 1.11 2008年世界経済危機の意味は何か?
 1.12 いかなる回答を我々は模索すべきか――モデルとメニュー
 1.13 公共マネジメント改革の比較研究には,いかなる方法が用いられるべきか?
 1.14 考察と結論――「存在」と「当為」の間の公共マネジメント改革

第2章 問題と対応の連鎖――公共マネジメント改革の過程モデル
 2.1 なぜ改革がさかんに行われてきたのか?
 2.2 公共マネジメント改革のモデル
 2.3 影響を及ぼす種々の力
 2.4 結 び

第3章 たくさんある家――政治・行政体制の型
 3.1 マネジメント改革の出発点
 3.2 統治・行政システム――その主要な特徴
 3.3 国家の基本構造
 3.4 行政府の性質
 3.5 高級官僚と大臣の関係
 3.6 ガバナンスの哲学と文化
 3.7 政策助言の発信源
 3.8 欧州委員会――特殊な事例
 3.9 伝統的官僚制――「旧体制」?
 3.10 結 び

第4章 現代化と改革の軌道
 4.1 体制の議論から軌道の議論へ
 4.2 軌 道――概念的な予備知識
 4.3 改革の主な構成要素
 4.4 財政マネジメント改革の軌道
 4.5 人材・人事マネジメントの軌道
 4.6 組織の軌道
 4.7 業績の測定
 4.8 透明性と開かれた政府
 4.9 実施の方法
 4.10 鍵となる軌道――「4M」
 4.11 緊縮財政の影響
 4.12 モデルへの回帰
 4.13 モデルへの回帰――ネオ・ウェーバー型国家(NWS)
 4.14 モデルへの回帰――ニュー・パブリック・ガバナンス(NPG)
 4.15 おわりに

第5章 結 果――グラスの中のおぼろげなもの
 5.1 結 果――掴みにくいコンセプト
 5.2 全体像――政府パフォーマンスの国際比較
 5.3 結果の種類とそれらの評価に関する課題
 5.4 節 減――経済性
 5.5 効率性の向上
 5.6 有効性の増大
 5.7 市民の満足と信頼の向上
 5.8 パフォーマンスの生産枠組を超えて――システム・能力・方向性・ビジョン
 5.9 考察と結論

第6章 政治とマネジメント
 6.1 過去に向かって?
 6.2 公共マネジメント改革は政治と行政の境界線を動かしたのか?
 6.3 選ばれた政治家にとって新たな公共マネジメントの軌道とモデルはどのような意味を持つのか?
 6.4 「政官の契約」の概念によって我々は境界線の移動をどの程度理解することができるのか?
 6.5 公共マネジメント改革と政治家及び公務員に対する国民の意識との関係は?
 6.6 政治とマネジメント――まとめ

第7章 トレードオフ,バランス,限界,ジレンマ,矛盾,パラドックス
 7.1 改革に関する楽観主義/記憶喪失
 7.2 バランスと矛盾に関する用語
 7.3 公共マネジメント改革――矛盾とトレードオフの候補
 7.4 官僚への政治的統制を強めること/マネージャーにマネジメントの自由を与えること/サービス消費者の力を強めること
 7.5 節減を重視すること/公共サービスの向上を重視すること
 7.6 柔軟性とイノベーションを推進すること/市民の信頼を高め,それにより政府の正統性を高めること
 7.7 職員の意欲を高め,文化的変革を促すこと/身分保障を弱め,雇用の「柔軟性」を高め,人員を削減すること
 7.8 内部監査や関連する書類仕事の負担を減らすこと/マネージャーの説明責任を明確化し,監査や評価を強化すること
 7.9 パートナーシップや外部委託を増やすこと/水平的調整を改善すること(「連携政府」,「統合型サービス提供」)
 7.10 有効性を高めること/マネージャーの説明責任を明確化すること
 7.11 開かれた政府や透明性を促進すること/プライバシーを保護すること
 7.12 考 察――バランス,限界,ジレンマ,パラドックス

第8章 考 察――reflections
 8.1 はじめに
 8.2 1980年から2016年までの改革の主な軌道は何だったのか?
 8.3 これらの改革の結果は何だったのか?
 8.4 この経験は,将来に向けてどのような意味を持つのか?
 8.5 将来の予測可能な外部動向は,近年の改革の経験にどのような意味を持つのか?
 8.6 我々はどのような答えを求めているのか,また,どのような答えが得られると合理的に期待できるのか?

参考文献一覧  
監訳者あとがき  
索 引  

著者略歴

著:C・ポリット
ベルギー・ルーヴァン大学公共ガバナンス研究所教授,及びオランダ・ガバナンス研究所研究員等を歴任。
2018年 逝去
著:G・ブカールト
2022年10月現在
ベルギー・ルーヴァンカトリック大学社会科学部教授
他監:縣 公一郎
2022年10月現在
早稲田大学政治経済学術院教授

ISBN:9784623093717
出版社:ミネルヴァ書房
判型:A5
ページ数:416ページ
定価:5000円(本体)
発行年月日:2022年10月
発売日:2022年10月31日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JP