病と健康をめぐるせめぎあい
コンテステーションの医療社会学
他編:佐藤 純一
他編:美馬 達哉
他編:中川 輝彦
内容紹介
医療化・製薬化・生物医学化した現代医療は病気の本態・原因・治療法をめぐる論争=コンテステーションを引き起こすようになった。本書は、そうした論争を具体的に取り上げ、先進社会における医療と公衆衛生に再考を迫る。
目次
序 章 病をめぐる論争とはなにか(黒田浩一郎)
1 「病をめぐる論争」の定義
2 現代社会において「病をめぐる論争」の生じやすい領域
3 本書で取り上げる「病をめぐる論争」
第Ⅰ部 「病の原因の次元」をめぐって
第1章 不確実性をめぐる論争――内部被ばくの基準値設定(立石裕二)
1 問題意識
2 不確実性の可視化
3 不確実性に触れるのを避ける専門家
4 なぜ専門家は不確実性に触れるのを避けるのか
5 不確実性のもとでの社会的意思決定
第2章 予防接種の「副反応」をめぐる論争――1970年代の「種痘禍」論争から(香西豊子)
1 「禍」の時代とContestation
2 「種痘禍」の社会問題化
3 「種痘禍」報道以前
4 種痘の必要性と「副反応」
5 「種痘禍」論争の帰結
コラム1 化学物質過敏症(黒田浩一郎)
第Ⅱ部 「先端医療」をめぐって
第3章 肥満の医療化――社会的診断の20年(山中浩司)
1 「肥満エピデミック」と「社会的診断」
2 「肥満」は「病気」か
3 「肥満」は「社会問題」か
4 「対策」と論争
第4章 死の医療化――医師幇助自殺の争点(進藤雄三)
1 「死の医療化」をめぐる概念
2 医師幇助自殺の争点化ッッその契機と論争
3 PASをめぐる論争の焦点ッッ「自然死」の構築と「気力低下症候群」概念
4 21世紀における「死の医療化」
第5章 二つのEBMの誕生(中川輝彦)
1 「対立を含んだ概念」としてのEBM
2 EBMは変容したのか
3 二つのモデル
4 EBMの誕生
コラム2 近藤誠「がんと闘うな論」(佐藤純一)
第Ⅲ部 精神医学をめぐって
第6章 精神疾患診断マニュアル――DSM的理性とその不満(美馬達哉)
1 DSM-Ⅲという革命
2 DSMをめぐる論争
3 DSMの未来
第7章 「うつ」の診断と治療 ――アメリカ精神医学会の診断基準と新規抗うつ薬への日本の精神医学界の反応(志水洋人)
1 論争の展開ッッ問題設定
2 二つの精神医学誌ッッ記事収集と分析方法
3 分析結果
4 製薬化とグローバル化についての考察
第8章 ADHDをめぐる論争――アメリカと日本の比較(佐々木洋子)
1 ADHDをめぐる論争
2 アメリカにおけるADHDの医療化の展開と論争
3 日本におけるADHDの医療化の展開と論争
4 ADHDの医療化をめぐる日米の相違
コラム3 神経多様性(髙木美歩)
第Ⅳ部 非近代医学・科学をめぐって
第9章 代替医療における治療者資格をめぐる「論争」(佐藤純一)
1 「代替医療」の構築と展開
2 日本における「代替医療としてのホメオパシー」
3 「ホメオパシー批判」の出現
4 論争の整理
5 論争における各論者の議論
6 「ホメオパシー論争」とは何だったのか
第10章 アトピーにおけるステロイド使用――患者・医師・マスメディア・学会による論争(駒田安紀)
1 アトピーにおけるステロイド使用とその副作用
2 ステロイドの使い方に関する論争
3 ステロイドを使うべきか否かをめぐる論争
4 ガイドラインの策定とそれ以降のステロイドをめぐる論争
5 なぜ論争が生じたのか
第11章 「健康の定義」にスピリチュアリティを加えるべきか――厚生省厚生科学審議会における議論の分析(長瀬雅子)
1 WHOの「健康の定義」改正をめぐる論争
2 近代医療におけるスピリチュアリティの受け容れ
3 WHOの「健康の定義」改正案に対する日本における議論
4 厚生省厚生科学審議会における議論
5 「スピリチュアルな次元での健康」に対する医学の反論
コラム4 『買ってはいけない』対『「買ってはいけない」は買ってはいけない』(黒田浩一郎)
あとがき
索引
ISBN:9784623092437
。出版社:ミネルヴァ書房
。判型:A5
。ページ数:328ページ
。定価:6000円(本体)
。発行年月日:2022年02月
。発売日:2022年02月14日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:MBN。