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観光人類学のフィールドワーク

ツーリズム現場の質的調査入門

編著:市野澤 潤平
編著:碇 陽子
編著:東 賢太朗

紙版

内容紹介

本書は、観光人類学の教科書としてフィールドワークの一般的な解説部分とテーマ/対象ごとに調査の具体を示す事例部分との二部から構成される。
フィールドワークを専?的に学ぶわけではない人にむけての実践的で役立ついわばフィールドワーク教本として、フィールドや事例にもとづきながら、「観光の調査」の具体について主要な概念や理論を踏まえて解説する。

目次

はじめに──本書のねらいと特長


 第Ⅰ部 人類学的フィールドワークの方法論

第1章 フィールドワークの事前準備(碇 陽子・市野澤潤平)
 1 人類学的フィールドワークとは
 2 基本的な考え方と「型」を知ろう
 3 どこで何を調べるか──具体と抽象の関係
 4 研究計画を立てる

第2章 フィールドにて:基礎編──調査現場で何をどうするか(碇 陽子・市野澤潤平)
 1 「現場」に入る
 2 参与観察
 3 フィールドノート
 4 聞き取り
 5 その他の情報収集手段
 6 現地の人々との関係──調査の心がけと倫理

第3章 論文を書く(碇 陽子・市野澤潤平)
 1 論文で「現場を描き出す」という目標に向かって
 2 質的データ分析の方法
 3 論文の作成
 4 フィールドワークと書くこと

第4章 フィールドにて:上級編──身体を使って理解する(土井清美)
 1 自分の人生の一部を賭す方法論として
 2 拡大する観光人類学の射程
 3 フィールド=場所を調査する
 4 身体を使う
 5 理論的背景──「客観的であること」を超えて

第5章 サイバーフィールドワークに出かけよう(吉井千周)
 1 サイバーフィールドワークとは
 2 サイバーフィールドワークへの道しるべ
 3 Google Mapsを利用した疑似巡礼
 4 ネットワークコミュニケーション分析とその限界
 5 BB分析の実際──計量テキスト分析の手法
 6 サイバーフィールドワークの可能性

第6章 実務におけるアウトプット──ビジネス人類学/ビジネスエスノグラフィーの観点から(伊藤泰信)
 1 人類学的調査・研究を用いた実務・実践
 2 勉強・研究・実務
 3 エスノグラフィーを用いたふたつの問題解決のタイプ
 4 ある企業での実践事例をめぐって
 5 問題解決の仕方をめぐって
 6 多様な実務的課題に向けて


 第Ⅱ部 国内における事例集
  
第7章 旅行会社でのフィールドワーク──「マイナーだけど身近な」企業の現場を調査する(鈴木涼太郎)
 1 観光関連企業の現場での調査
 2 マイナーなフィールド?──企業での調査へのハードル
 3 身近で気軽なフィールド?──「お客様」,アルバイト,インターンシップ
 4 旅行会社のカウンター業務の調査事例
 5 大学生のフィールドワークのために

第8章 芸術祭のフィールドワーク──学生の調査から観光まちづくりを問いなおす(越智郁乃・鍋倉咲希)
 1 観光まちづくりの広がり
 2 芸術祭と観光まちづくり
 3 芸術祭を調査する──ゼミによる調査を通じて
 4 まちづくりの現場から「観光」について考え直す

第9章 祭り×観光のフィールドワーク──観光資源化する東北地方の祭り(安藤直子)
 1 祭り−観光で何が起きたか
 2 祭り×観光のフィールドワークは楽しい
 3 祭り×観光のフィールドで何をどのように眺めるか
 4 フィールドワークに出かける前に
 5 さあ,フィールドワークに出かけよう

第10章  農村景観を活かした観光まちづくりのフィールドワーク──京都府美山町の地域振興( 堂下 恵)
 1 観光まちづくり
 2 観光まちづくりのフィールド選び
 3 美山町でのフィールドワーク
 4 実際のフィールドワーク──美山町での調査から
 5 フィールドワーク後の紆余曲折

第11章 災害と観光──東日本大震災の被災地における「ダークツーリズム」(内尾太一)
 1 災害と観光の交わるところ
 2 宮城県南三陸町へ
 3 防災対策庁舎
 4 チリ・イースター島から贈られたモアイ
 5 フィールドからダークツーリズム概念を揺さぶる


 第Ⅲ部 訪日インバウンド観光と国外における事例集

第12章 訪日外国人観光客の実態──訪日ツアーに同行する(田中孝枝)
 1 訪日外国人観光客を調査する難しさ
 2 「旅ナカ」へのアプローチ
 3 訪日ツアーへの同行
 4 「旅マエ」と「旅アト」への接近
 5 訪日外国人観光客との接点

第13章 ビーチリゾートで調査をする──日常と非日常のあいだで(東 賢太朗)
 1 ビーチリゾートがフィールドになる
 2 ビーチリゾートで調査することの難しさ
 3 ボラカイ島に生じたふたつの事件
 4 ビーチリゾートで調査する人たちのために

第14章 観光開発の現場でのフィールドワーク──調査者が直面する問題とその解決策(小河久志)
 1 観光開発とフィールドワーク
 2 観光開発の表と裏
 3 フィールドワークで直面した問題
 4 困難にどう対応したか,どう対応すればよいのか
 5 海外の観光開発の現場でフィールドワークをする意義と醍醐味

第15章 エコツーリズム・プロジェクトの現場──インドネシア・バリのローカルNGOにおけるフィールドワーク(岩原紘伊)
 1 エコツーリズムとNGOプロジェクト
 2 研究テーマの変更とNGOプロジェクトとの出会い
 3 NGOで調査を始める
 4 NGOのプロジェクトを調査する技法
 5 プロジェクトと観光のあいだで

第16章 スペインの巡礼路を歩く旅──現象学的フィールドワーク(土井清美)
 1 フィールドとフィールドワークの概要
 2 自らの行動を周囲の状況に合わせていくこと
 3 観光と巡礼──軽い話の重さ
 4 フィールドワーク上の不全感をどう扱うか
 5 フィールドワークはたんに知りたいことを知る方法ではない
 6 フィールドの内外ではなく遠近


索 引

著者略歴

編著:市野澤 潤平
2021年5月現在
宮城学院女子大学現代ビジネス学部教授
編著:碇 陽子
2021年5月現在
明治大学政治経済学部専任講師
編著:東 賢太朗
2021年5月現在
名古屋大学大学院人文学研究科准教授

ISBN:9784623091881
出版社:ミネルヴァ書房
判型:A5
ページ数:312ページ
定価:3200円(本体)
発行年月日:2021年05月
発売日:2021年05月10日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:KNSG