目次

序　章　「共に生きる」とはどういうことか（鯨岡　峻）
　１ 長い前置き
　２ かつての師として，かつての院生の皆さんにいま何を伝えたいか──関係発達論の全体像のスケッチ
　３ 「共に生きる」とはどういうことか
　４ 結びにかえて


　第Ⅰ部　接面を共に生きる

第１章　保育の場にみる発達障碍のある子どもの生きる姿──その子は何を楽しみ，何に困っているのか（頼　小紅）
　１ 周りとの関係の中で発達障碍を考える
　２ 研究のフィールドと研究に臨む姿勢
　３ 関与観察から得られた３つのエピソード
　４ 発達障碍のある子どもも周りとの関係の中で心を動かして生きている

第２章　接面から考える特別支援教育のかたち──「共に生きる構え」を通して「あなた」と分かち合えたこと（勝浦眞仁）
　１ 特別支援教育において「接面」は問われてきたのか
　２ エピソードを記述するにあたって
　３ タケルとの７つのエピソード
　４　安心感のある学校を創出するために

第３章　保育者養成校での〈教える──教えられる〉という関係性の形成──保育者になるという「前向きの心」の育ちを接面パラダイムで読み解く（塚田みちる）
　１ 問題意識の所在
　２ ヒカリさんとの関わりを描くにあたっての前置き
　３ 資料収集の経緯
　４ ヒカリさんとの出来事を綴ったエピソードの紹介
　５ まとめとこれからの展望


　第Ⅱ部　接面の力動と構造

第４章　自閉スペクトラム症の子どもとの音楽療法における音・音楽と接面──自己性の育ちへのアプローチ（山本知香）
　１ 本章における音楽療法──関係発達論的な音楽療法について
　２ よしくんとの音楽療法──接面の生成と働きに着目した実践の記述
　３ 音楽療法と接面について

第５章　接面が立ち上がるとき──「森のようちえん」における私と子どもの関わりから（山本展明）
　１ 「森のようちえん」の保育の中で生じた問い
　２ 研究の手続き
　３ 濃い接面が立ち上がるとき
　４ 濃い接面が立ち上がるとき何が起こっているのか

第６章　「接面」と集団のダイナミズム──居場所型精神科デイケアの治療（近藤真帆）
　１ 居場所型精神科デイケアの問題
　２ いろいろな居方を抱えるデイケア“おひるね”
　３ 須玖さんの居方と変わり方
　４ 「共に生きる」を支える「接面」と集団


　第Ⅲ部　接面からもたらされるインパクト

第７章　トランスジェンダー当事者同士の「語り合い」によって生まれた接面──接面を描く意味とインタビュー調査の特異性（町田奈緒士）
　１ はじめに
　２ 協力者との出会いの中で感じられた接面
　３ 質的研究において「接面」を描くことの意味とは

第８章　盲ろう者とコミュニケーション──共に「より良く生きる」ために…黒田生子
　１ 「盲ろう」とは,果たしてどのような障碍か
　２ 盲ろう者とコミュニケーション
　３ 盲ろう者の「より良い生」の実現のために

第９章　慢性の病いと共に生きる──あるがん患者の面接を通して（渡部千世子）
　１ 「慢性の病い」に関する私自身の体験
　２ あるがん患者の面接事例
　３ 慢性疾患患者・家族への支援
　４ 「慢性の病いをもちながら生きる人」への支援

第10章　生と死の境界を共に生きる──死と向き合う場で共にあること（近藤（有田）恵）
　１ 生と死のあいだの自分という存在について
　２ 共にあるということ──ゆうさんとの出会い
　３　生と死の境界を生きる

終　章　接面とはどういう概念なのか──家族の回想録から（大倉得史）
　１ 先生からの最終問題
　２ 接面と間主観性はどう違うのか
　３ 特別な時空としての接面
　４ 「接面が立ち上がる」ことと「他者の気持ちがわかる」こと
　５ 私と父のこと──存在の奥底に刻まれた接面
　６ 今後に向けた小括


あとがき