ポップカルチャーで学ぶ社会学入門
「当たり前」を問い直すための視座
著:遠藤 英樹
内容紹介
新型コロナウイルス感染症の状況下で、私たちは今までの社会にしがみついているだけでは立ち行かなくなっている。いまや「当たり前」を問い直せる人だけが、この社会を生き抜くための新しい仕組みを提案することができる。 社会学は、私たちが「当たり前」と思い込んでいたことを改めて問い直すこと(脱常識的なものの見方)を可能にする学問なのだ。ドラマ・映画・Jポップ等のポップカルチャーを題材に、本書は代表的な社会学の理論を解説しながら、自我・コミュニケーション・恋愛・家族・仕事などの社会学のテーマをわかりやすく分析する。「そういうものだから」と思い、多くの「当たり前」に囚われ生きている私たちが、そこから解き放たれ、この瞬間を充溢して生きていく事を可能にする視座を示す一冊。
目次
まえがき
第1章 社会学への招待――脱常識的な見方
1 社会学の対象と視点
2 動機の語彙――「キュン死しそうだから」という動機
3 認知的不協和――楽しくなかったとはしたくない
4 自明性を疑うということ
第2章 自我――僕が僕であるために
1 「自分」という存在への関心
2 社会とアイデンティティ(自分らしさ)
3 他者と生きる自分
4 「私」はどこにいるのか?
第3章 コミュニケーション――僕たちの「想い」は伝わるのか?
1 他者を「理解」するためには
2 「理解」=「誤解」の同型性
3 エスノメソドロジー
4 時代や社会の中で変容するコミュニケーション
第4章 恋愛――二人をつなぐ赤い糸(コミュニケーション・メディア)
1 恋愛の定義
2 情熱的なものとしての恋愛
3 ダブル・コンティンジェントな恋愛
4 コミュニケーション・メディアとしての恋愛
5 時代や社会の中で変わりゆく恋愛
第5章 ジェンダー――男であること・女であること
1 「男性らしさ」と「女性らしさ」
2 ジェンダーとセックス
3 コンスタティブとパフォーマティブのズレ
4 「セクシュアリティ」の変化
5 性の問い直し
第6章 家族――アニメ・テレビドラマ・映画にみる家族のかたち
1 ノスタルジックな家族像
2 家族の構造と機能
3 近代家族の誕生とゆらぎ
4 家族の個人化
第7章 仕事・産業――これからの社会における「承認」のゆくえ
1 社会で生きるためのコア
2 承認が見えにくくなる社会
3 感情労働化する仕事
4 労働を越える労働の下で
5 フォーディズムからポスト・フォーディズムへ
6 AIは感情労働的コミュニケーションの夢を見るか?
第8章 行為――僕たちは自由に行為できるのか?
1 行為の社会学
2 囚人のジレンマ・ゲーム
3 人はなぜ自殺することがあるのか?
4 行為の不思議さ
5 行為のアイロニー(皮肉)
6 自由でないことを越えるために
第9章 メディアと視聴者――私たちはテレビドラマをどう見ているのか?
1 視聴者分析
2 メディアに関するカルチュラル・スタディーズ
3 新たな疑問へ
4 「メディア内存在」の私たち
第10章 文化――虚構と実在が同期化するアイドル
1 文化産業としてのアイドル文化
2 アイドルの歴史
3 見田宗介による時代区分からみたアイドル
4 文化と社会のつながり
第11章 テーマパーク――トランスナショナル・ディズニー
1 シミュレーションとしての観光地
2 シミュレーションを支えるリアルな仕掛け
3 アメリカ文化と切り離せないシミュレーション
4 様々な遊び方を発明するゲストたち
5 トランスナショナルなポピュラーカルチャー
第12章 都市――僕たちが生きる都市のすがた
1 都市の不思議
2 都市の人間関係における「儀礼的無関心」
3 人びとの想いが集まる都市
4 「社会的実験室」としての都市
5 シカゴ学派からロサンゼルス学派へ
6 観光という移動がもたらすインパクト
7 グローバル社会と都市
第13章 モバイル・ライブズ――私たちの社会のすがた・私たちの生きるかたち
1 モバイルな社会
2 現実=リアルなものを再編する移動(モビリティ)
3 移動(モビリティ)とデジタル革命
4 新しい観光形態へ
5 夢見るようにリアリストたれ
終 章 再び社会学への招待
1 社会学的想像力
2 社会学において大切なこと
さらに理解を深めるためのブックガイド
あとがき
索 引
ISBN:9784623091294
。出版社:ミネルヴァ書房
。判型:A5
。ページ数:216ページ
。定価:2400円(本体)
。発行年月日:2021年04月
。発売日:2021年03月22日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JHB。