新時代の道徳教育
「考え、議論する」ための15章
著:貝塚 茂樹
内容紹介
新学習指導要領に基づき道徳教育が新しくなるなか、理論と方法、内容と指導法、評価の全体像はいかなるものか。本書では、道徳教育の理論と歴史の充実した叙述から、「考え、議論する道徳」の意味を理論的に位置づけ、現代社会の変化を視野に入れた道徳教育の意味と役割を紹介する。指導法や評価について具体的に記述するなど道徳教育のテキストとなるのはもちろん、道徳とは何かについて関心を持つ人にとっても有用な一冊である。
目次
はしがき
序 章 なぜ,道徳教育が問題となるのか
第Ⅰ部 道徳教育の理論
第1章 道徳教育をどのように考えるか
1 人間とはどのような存在か
2 道徳をどのように考えるか
3 道徳的価値をどのように考えるか
4 道徳教育は何を目指すのか
第2章 道徳性はどのように育つのか
1 ピアジェによる道徳性の発達理論
2 コールバーグの発達段階とモラルジレンマ
3 コールバーグへの批判と「ケアの倫理」
4 「他律から自律へ」をどう考えるか
第3章 学校で道徳を学ぶとはどういうことか
1 道徳を教えるとはどういうことか
2 学校教育と道徳教育
3 道徳教育をめぐる2つの立場
4 他者とのつながりを学ぶ
コラム1 道徳教育の学びと「個性」
第4章 道徳教育と宗教の関係をどう考えるか
1 教育と宗教との関係
2 戦後の宗教教育と宗教的情操
3 「宗教リテラシー教育」と道徳教育
4 「特別の教科 道徳」と宗教
コラム2 道徳教育と「死者の民主主義」
第5章 道徳教育において愛国心をどう考えるか
1 戦後日本と愛国心
2 戦後教育における愛国心
3 教育基本法・学習指導要領と愛国心
4 グローバル時代の愛国心
第6章 現代的な課題とどう向き合うのか
1 「特別の教科 道徳」と現代的な課題
2 情報モラルと道徳教育
3 現代的な課題としての生命倫理
4 現代的な課題としての国際理解教育
第Ⅱ部 道徳教育の歴史
第7章 教育勅語と修身科の歴史をどう見るか
1 日本の「近代化」と道徳教育
2 教育勅語と修身教育
3 明治期の修身教科書と国定修身教科書
4 大正新(自由)教育運動と修身教授改革論
5 総力戦体制と修身教育
第8章 戦後日本の道徳教育論争の展開
1 敗戦直後の道徳教育問題の展開
2 教育勅語論争の展開
3 天野貞祐の問題提起と道徳教育論争
4 「道徳の時間」設置論争の展開
5 「期待される人間像」論争の展開
第9章「特別の教科道徳」設置の意義
1 1980年代以降の道徳教育の展開
2 教育改革国民会議と教育基本法の改正
3 「道徳教育の充実に関する懇談会」の「報告」
4 「特別の教科 道徳」の成立と「平成29年版学習指導要領」
5 「特別の教科 道徳」設置の歴史的意義
第Ⅲ部 学校教育と道徳教育
第10章「特別の教科 道徳」は何を育てるのか
1 「考え,議論する道徳」への「質的転換」
2 道徳科における「主体的・対話的で深い学び」の視点
3 道徳教育とカリキュラム・マネジメント
4 「考え,議論する道徳」と学力
第11章 学校における道徳教育の目標と内容
1 道徳教育と「特別の教科 道徳」の目標
2 学校における道徳教育の指導体制
3 道徳の内容と4つの視点
第12章 道徳科の授業はどう構成するのか
1 道徳の授業論の種類
2 「特別の教科 道徳」における多様な指導法
3 教科書と多様な教材の活用
4 学習指導案はどう書くのか
第13章 道徳教育の評価はどう行うのか
1 道徳教育における評価
2 「特別の教科 道徳」における評価
3 「特別の教科 道徳」における評価の方法
4 道徳授業における評価の基本的な考え方
第14章 学校と家庭・地域の連携と教師の役割
1 学校・家庭・地域の関係構造の変遷
2 道徳教育における学校・家庭・地域社会の連携
3 道徳教育と教師
第15章 今後の道徳教育の課題
1 いじめ問題と道徳教育
2 道徳教育における人権教育と新たな動向
3 「特別の教科 道徳」の検討すべき課題
4 新しい道徳教育を創造するために
資料編
あとがき
人名索引
事項索引
ISBN:9784623090389
。出版社:ミネルヴァ書房
。判型:A5
。ページ数:242ページ
。定価:2800円(本体)
。発行年月日:2020年11月
。発売日:2020年10月29日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JNA。