渋沢栄一と「フィランソロピー」 6
社会を支える「民」の育成と渋沢栄一
未来を拓く、次世代を創る
著:見城 悌治
著:飯森 明子
著:井上 潤
内容紹介
渋沢栄一は、近代日本の経済や産業のみならず、極めて幅広い領域の人材養成に腐心していた。いつの時代でも、どのような分野においても、「人づくり」は極めて重要な課題である。渋沢は、近代社会の発展に呼応して、企業の後継者養成や商業学校において「エリート男子」の教育に尽力し、また、小学校教育・女子教育の重要さ、国際的な人材育成などにも意を払い、さまざまな支援を講じた。渋沢が、教育を通じて、未来に託した希望を見つめる一冊。
目次
シリーズ出版『渋沢栄一と「フィランソロピー」』(全八巻)刊行にあたって
はしがき
凡 例
序 章 渋沢栄一は教育に何を託したのか(見城悌治)
一 渋沢死後の業績評価とその変遷
二 渋沢の「教育」への関心とその広がり
三 豊かで多様な社会を支える人材育成を見つめた渋沢
第Ⅰ部 商業者教育の展開と渋沢栄一の思想
第一章 ビジネス教育の高度化に対する渋沢栄一の貢献――商科大学への昇格運動をめぐって(山藤竜太郎)
一 大学昇格推進における渋沢の役割
二 『渋沢栄一伝記資料』にみる昇格運動の契機と躍進
三 商科大学への昇格運動
四 寄付による支援と成果
第二章 渋沢栄一と水島銕也――商業教育思想の平衡(井上真由美・玉井芳郎)
一 二人の共通項
二 両者の交流
三 矢野的教育への共鳴
四 大学昇格を目指す理由
五 商業教育思想の平衡
第三章 渋沢栄一の経営者教育――なぜ山辺丈夫の主体的行動を喚起できたのか(落合康裕)
一 実践的課題としての次世代経営者の育成
二 渋沢による多様な経営者育成とその特徴
三 山辺丈夫の育成における三つのポイント
四 規律と自律のマネジメント
五 温故知新――渋沢の実践的示唆を学ぶ
コラム1 竜門社に学ぶ現代の実践家教育(落合康裕)
第Ⅱ部 「社会」の広がりに伴う教育整備と渋沢栄一の役割
第四章 第一次世界大戦と女性の社会進出――女性紙の言説をとおして(吉良芳恵)
一 平塚らいてうの軍国主義批判
二 『家庭週報』にみる第一次世界大戦と女性観の変化
三 『婦人週報』や『婦女新聞』にみる第一次世界大戦と女性の社会進出
四 社会と国家のはざまで
第五章 日本女子大学校の寄付金募集と総合大学設立運動(井川克彦)
一 日本女子大学校の創立と寄付金募集
二 寄付金の募集
三 女子総合大学設立運動の挫折
第六章 「底辺層」教育へのまなざし――下田歌子との比較から(何 瑋)
一 日本の近代化と「底辺層」問題
二 児童教育と養育院
三 下田と中流以下の女子教育
四 渋沢と下田にみる共通点と相違点
五 欧州社会の事例をどう生かすか――新時代の課題への対峙
コラム2 渋沢栄一による育英事業(井 上 潤)
第Ⅲ部 未来を見すえた人材育成とその思想
第七章 渋沢栄一と福沢諭吉の教育思想――小学校における道徳教育を中心に(蔡 珂)
一 「国民育成」と小学教育
二 渋沢と福沢諭吉
三 福沢諭吉の小学校における教育道徳思想
四 渋沢の小学校における教育道徳思想
五 小学校の道徳教育における両者の差異
第八章 講演録から見る教育観とその変遷 (見城悌治)
一 能弁家であった渋沢
二 経済人・渋沢がおこなった「教育」をめぐる講演とその特色
三 社会事業家・渋沢としての「教育」をめぐる講演とその特色
四 欧州大戦期以降の渋沢の教育理念の行方
第九章 農業事業/農業教育を通じた渋沢栄一の人材育成――渋沢農場・八基公民学校などを事例として(三村達也・見城悌治)
一 渋沢の農業事業/農業教育支援
二 渋沢農場の設立経緯とその展開
三 渋沢農場における人材育成、その人的ネットワーク
四 一九二〇年代における渋沢の「農業教育」観
五 人材育成を「未来」につなぐ
コラム3 国士舘と渋沢栄一の教育思想(井上真由美)
コラム4 亜細亜学生会と渋沢栄一 陳 彦君)
人名・事項索引
ISBN:9784623090228
。出版社:ミネルヴァ書房
。判型:A5
。ページ数:226ページ
。定価:3800円(本体)
。発行年月日:2021年04月
。発売日:2021年04月20日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JKS。