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MINERVA 社会福祉叢書

子ども虐待防止支援の実証分析

近代家族イデオロギーを超えて

著:栗山 直子

紙版

内容紹介

社会が大きく変容しているにもかかわらず、我々は近代以来の「理想の家族像」という固定観念、つまり近代家族イデオロギーに生き方を規制され、子ども虐待という弊害まで生みだした。そうした虐待のケースをグラウンデッド・セオリー・アプローチで分析し、発生のメカニズムを明らかにするとともに、個人の意味づけや家族の関係性など家族内部に目を向けることの重要性を説く。

目次

はじめに

第1章 近代家族イデオロギーという呪縛
 1 近代家族イデオロギーとしての母親規範
 2 規範としての近代家族
 3 母子関係にかかる規範
 4 母性規範が生じさせる母子の囲い込み現象
 5 近代家族の限界

第2章 「母性的な母親」と「滅ぼそうとする母親」
 1 母性の持つ両義性
 2 母子の愛着関係について
 3 母親役割を主体的に選択するということ

第3章 近代家族イデオロギーによって急かされる「自立」――子どもにとっての安全基地の剥奪
 1 甘えの剥奪について
 2 段階的な甘えの発達
 3 甘えられないことが乳幼児に与える影響
 4 乳幼児にとっての甘えさせてくれる存在

第4章 母親役割と意味づけに関する調査――シンボリック相互作用論を手がかりに
 1 母親役割の固有性をめぐって
 2 保育所・幼稚園児の母親に対するアンケート調査――母親役割タイプとその育児規範の比較
 3 3つの母親役割アプローチ

第5章 子ども虐待の一因としての近代家族イデオロギー――児童虐待相談機関を訪れた母親たち
 1 性別役割分業の壁からくる母親の孤立
 2 近代家族の特質
 3 近代家族規範の影響についての調査――9名の母親の事例から
 4 近代家族規範と虐待の関連について
 5 近代家族規範の呪縛から逃れるためには

第6章 近代家族イデオロギーからの脱却
 1 近代家族イデオロギーによって引き起こされる家族の中での支配
 2 脱近代家族イデオロギー
 3 家族多様化の視点
 4 多様な家族のあり方を認め合う子育て社会の構築に向けて

補 章 もう1つの社会的養護――ニュージーランドの祖父母による孫の養育
 1 NZ式「子どものウェルビーイング」
 2 近代家族イデオロギーを超越する社会づくりの歴史――法律を中心に
 3 児童相談機関(Child Youth and Family)
 4 祖父母による代替養育――ワイドファミリー・サポート構築支援の実際

引用・参考文献
初出一覧
資料編
おわりにかえて
索  引

著者略歴

著:栗山 直子
2020年9月現在
追手門学院大学経済学部准教授

ISBN:9784623088508
出版社:ミネルヴァ書房
判型:A5
ページ数:212ページ
定価:6500円(本体)
発行年月日:2020年09月
発売日:2020年10月20日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JKS