シリーズ・ニッポン再発見
日本の鉄道路線 12
国鉄在来線の栄枯盛衰
著:山崎 宏之
内容紹介
国家近代化の急先鋒として栄華を誇った鉄道はモータリゼーションの進展や社会構造の変化に伴い次第に役割を失い、衰退した在来線は地図から消え去ろうとしています。奇しくもそれは日本の近代史と同じ足取りのように。本書は、今より貧しくても活力に満ちていた「古き良き時代」を象徴する国有鉄道の栄枯盛衰の足跡から、鉄道の真価と存在意義を再発見し、閉塞感に覆われた現代社会が進むべき方向性を探ります。
目次
はじめに
第一部 時代に見る国鉄在来線の栄枯盛衰
1 鉄道創成期から終戦まで
江戸時代までの交通・物流手段は
鉄道導入までの経緯
鉄道開業
日本鉄道の誕生
井上勝と私設鉄道条例
五大私鉄の時代
鉄道敷設法
2つの戦争が潮目を変えた鉄道国有化
官設鉄道の線路名称
国有鉄道線路名称の制定
国有鉄道線路名称の変遷
抜け道として活用された軽便鉄道法
赤字ローカル線問題の出発点といわれる改正鉄道敷設法
戦時私鉄買収
2 戦後から今日まで
表面化した赤字ローカル線問題
国鉄再建法による特定地方交通線の廃止
国鉄分割・民営化後の在来線の動き
第二部 地域に見る国鉄在来線の栄枯盛衰
1 廻りゆく琵琶湖を廻る鉄道
京都府が要請した京都〜敦賀間の鉄道
迷走した琵琶湖周辺のルート
紆余曲折した琵琶湖畔から敦賀までの鉄道
西京から分断された湖北の鉄道
湖南、湖東に取り残された湖北の鉄道
にわかに台頭してきた湖西の鉄道
JR化が明暗を分けた湖北の鉄道
京阪神との一体化に街の命運をかけた長浜市
敦賀にまで及んだ直流化の波
時代は廻る(北陸新幹線の大阪延伸時には…)
2 伊那谷を廻る鉄道誘致の歴史
東西幹線鉄道の誘致運動
中央鉄道の誘致運動
我田引鉄
伊那電気鉄道が化けた飯田線
存在意義が失われた中津川線
南アルプスを回避した中央自動車道
時代は廻る(東西幹線鉄道が化けた中央新幹線)
3 二転三転した鹿児島を廻る鉄道
九州における鉄道創設の動き
鉄道敷設法の鹿児島に至る2つの予定鉄道線路
直ちに着工した熊本から鹿児島に至る鉄道
鹿児島本線の誕生
五月雨式に建設されていった豊州本線
建設が遅れた宮崎線
日豊本線の誕生
川内線の誕生
ひっくり返った鹿児島本線と肥薩線
日豊本線の完成
4 天北を廻る天塩線四代の軌跡
北海道の鉄道概史
初代の天塩線(旭川〜名寄間)
二代目の天塩線(音威子府〜誉平間)
三代目の天塩線(音威子府〜幌延〜稚内間)
四代目の天塩線(幌延〜天塩〜遠別間)
名羽線――使用された未成線
永遠に消えた天塩の名がつく鉄道
[鉄道路線豆知識]
東京と新潟を結ぶ鉄道路線と碓氷峠
資料
おわりに
参考文献
さくいん