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MINERVA 人文・社会科学叢書 250

戦後日本の関係修復外交

国際政治理論による歴史分析

著:福島 啓之

紙版

内容紹介

戦後日本外交は、冷戦下、アメリカとの同盟関係に配慮し、戦争と植民地化の被害国の不信感と向き合いながら、旧敵国との関係を修復するという難題に直面した。日本はこの二重の困難をどう克服し、近隣諸国との外交を立て直したのか。本書は、その全体像を体系的に明らかにする。歴代政権による台湾、ソ連、韓国、中国との国交正常化の歴史を、政策決定者の認識と判断に着目した外交理論により分析していく。国際政治理論と日本外交史を架橋し、外交力学と国内政治、経済利益と歴史認識の複合作用に平和への道筋を見出す画期的研究。

目次

序 章 戦後の平和と敗者の外交
 1 外交による過去の克服
 2 戦後日本の歴史事例と政策決定をめぐる理論
 3 紛争の収束と敗者の視点
 4 本書の議論と構成
 5 本書の議論の有用性への期待


 第Ⅰ部 関係修復の国際政治学

第1章 先行研究とその批判
 1 先行研究にみられる三つの視角
 2 歴史事例分野の先行研究
 3 国際政治理論分野の先行研究
 4 先行研究に対する批判
 5 認知的選択アプローチによる歴史と理論の結合

第2章 関係修復の外交理論
 1 関係修復の外交をめぐる問題
 2 関係修復の対象国の選択
 3 関係修復の意思の疎通
 補論 謝罪ゲームの均衡の証明

第3章 実証分析の方法
 1 事例分析の意義と問題点
 2 事例分析における一般的な設問の設定と答えの指標化
 3 謝罪ゲームのモデルの事例分析における変数の評価基準


 第Ⅱ部 戦後日本の関係修復外交の歴史事例分析

第4章 冷戦と吉田・鳩山政権の関係修復外交
 1 吉田・鳩山政権による近隣諸国との関係修復の取り組みの比較
 2 吉田政権による台湾との関係修復と中国との関係悪化
 3 鳩山政権の韓国との関係悪化とソ連との関係修復
 4 関係修復の多国間レベルの条件に関する比較分析のまとめ

第5章 岸・池田政権の韓国,中国に対する援助と謝罪
 1 岸・池田政権による韓国,中国との関係修復の取り組みの比較
 2 岸政権の対韓政策と韓国の反応
 3 岸政権の対中政策と中国の反応
 4 池田政権の対韓政策と韓国の反応
 5 池田政権の対中政策と中国の反応
 6 岸・池田政権による韓国,中国との関係修復の取り組みのまとめ

第6章 佐藤・田中政権の謝罪と韓国,中国との国交正常化
 1 佐藤・田中政権による韓国,中国との関係修復の取り組みの比較
 2 佐藤政権の対韓政策と韓国の反応
 3 佐藤政権の対中政策と中国の反応
 4 田中政権の対中政策と中国の反応
 5 関係修復の二国間レベルの条件に関する比較分析のまとめ

終 章 敗者の創る戦後秩序
 1 本書の研究から得られた知見
 2 本書の議論を発展させていく上での展望
 3 本書の研究の意義

参考文献
あとがき
人名・事項索引

著者略歴

著:福島 啓之
2021年6月現在
東京大学大学院総合文化研究科学術研究員

ISBN:9784623087495
出版社:ミネルヴァ書房
判型:A5
ページ数:440ページ
定価:7000円(本体)
発行年月日:2021年06月
発売日:2021年06月28日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JPS