18歳で学ぶ哲学的リアル
改訂版
「常識」の解剖学
著:大橋 基
内容紹介
「哲学入門」を迷っている人への「哲学案内」
「哲学」は、実生活の役に立たない
だからこそ「現実」を変えるかもしれない
私たちが経験する「生きづらさ」や「決めがたさ」を糸口として、哲学の思考法を解説。実際に起こった事件や私たちが遭遇しうる出来事のなかに、哲学的な「論点」を見出し、哲学者の「考え方」を分かりやすく紹介する。また、読者が試行錯誤する場として、各章末に「自分なりに考える」を設定。改訂版では、取り上げる事件・事例を大幅に刷新し、より平易に哲学の基礎知識や推論能力を身につけることができる内容とした。
目次
改訂版刊行によせて
序 章 「大学」に隠された「無法地帯」
第Ⅰ部 もう「アイデンティティ」はいらない?
第1章 「美しい国」の人見知りな「私」
1 日本の「風土」が育てた穏やかな連帯感と狡猾な処世術
2 キリスト教から歩み出た「近代的自我」の「自由意志」
3 「日本人」のままで「自由意志」を行使できないのか?
●自分なりに考える:「日本人」であることに「劣等感」を感じるか?
第2章 結局,裏切り者は「オレ」だった
1 「君の気持ちは分かる」と言えるヤツほど信頼できない
2 「私が何者か」を証明できるのは「身体」か「記憶」か?
3 「相互承認」に基づいて成立する「アイデンティティ」
●自分なりに考える:「自己紹介」で知ってほしい「自己」とは何か?
第3章 もろく曖昧な「善/悪」の境界線
1 身に覚えがないのに「殺人犯」として裁かれたとしたら
2 「平凡な役人」が「法外な犯罪」に加担したのはなぜか?
3 「善/悪」の道徳的な区別などフィクションにすぎない
●自分なりに考える:「集団の記憶」を蒸し返すのはいけないことか?
第Ⅱ部 「恋」に悩むより「平穏無事」がいい?
第4章 「皆殺しの天使」は「女」が嫌い
1 「衣服」は「自由」を手に入れるための武器になるか?
2 「身だしなみ」と「自己表現」の境界線を引くのは誰?
3 「猫みたいに抱きかかえられる」のを拒絶する「自由」
●自分なりに考える:「痩せすぎモデル」に失業以外の道はないのか?
第5章 好きだの嫌いだの,愛だの恋だの
1 きっと「哲学者」より私たちの方が「愛」を知っている
2 「恋愛」は「夫婦愛」を通して「家族愛」へと発展する
3 「愛」を育むのは,「人格への尊敬」と「愛する技術」
●自分なりに考える:「マッチング」に必要になる「条件」とは何か?
第6章 「優しい嘘」は残酷な傷跡を残す
1 「禁断の恋」に落ちたままで「良妻賢母」を続けた過去
2 「嘘の禁止」という義務が「道徳法則」とみなせる理由
3 「正直」だからこそ,逆に「嘘つき」になることもある
●自分なりに考える:私の「真意」は「言葉」より先に存在するのか?
第Ⅲ部 今はまだ「死」について実感できない?
第7章 孤独な僕らの「メメント・モリ」
1 安堵と不安が絶え間なく交錯する密室としての「病室」
2 医学は進歩し続け,その結果,「治せない病」が残った
3 「無縁社会」のなかで「死」を迎える単身者の「孤独」
●自分なりに考える:「死に方」に「テンプレート」を用意できるか?
第8章 「不便」が「不幸」とは限らない
1 生命倫理学者に告ぐ,「人殺しに加担するのはやめろ」
2 子供の生死を左右する「大人の事情」をのぞいてみよう
3 親が「障害児を避けたい」と願うのは「偏見」なのか?
●自分なりに考える:「子育て」に適するのは「産みの母親」だけか?
第9章 「リビング・デッド」の製造方法
1 その人生は他人に奉仕すること以外何も許されていない
2 「無慈悲で残酷な世界」の中で繰り広げられる試行錯誤
3 自分の身体が「臓器の貯蔵庫」にされることへの違和感
●自分なりに考える:「医療」が踏み込んではいけない領域はあるか?
第Ⅳ部 世界を正すのは「権力」か「抵抗」か?
第10章 「正義の天秤」の設計図を紐解く
1 「先生」は「職業に貴賎はない」と言い張るのだけれど
2 「自由主義社会」が前提する「平等な競争」という虚構
3 万人を「平等」にする「正義」なんて実現できるのか?
●自分なりに考える:最低限の所得で「幸福」を感じる条件とは何か?
第11章 「リヴァイアサン」は目覚めかけ
1 「善良な市民」から「潜在犯」を区別する基準は何か?
2 「疑惑」や「恐怖」を「安心」に変換する「管理社会」
3 何をすべきか分からないけど,「異文化共生」には賛成
●自分なりに考える:「監視装置」が「権力」に変化するのはなぜか?
第12章 「復讐の連鎖」に楔は打てるか?
1 「テロ」と「戦争」の区別が失われつつある「新世紀」
2 「永遠平和」の理想から「正義の戦争」という妥協策へ
3 「戦争」の「正/不正」を判断すべきは「道徳」である
●自分なりに考える:「闘わないこと」で「戦争」を終結させうるか?
第Ⅴ部 ゲリラ雷雨に襲われる「理由」はない?
第13章 人間が「精霊」と共に暮らす条件
1 今夜もまた「名前を返せ」と「妖怪たち」がやって来る
2 「自然」のなかで「自然」を支配しようとした「動物」
3 「人類」のためなら「動物」を犠牲にしても仕方ない?
●自分なりに考える:「イルカ料理」は「日本の食文化」と言えるか?
第14章 「ディストピアの救世主」の資格
1 「過去」を書き換えて「未来」を救う「孤独な観測者」
2 「凍結保存」という「時限装置」を起動させない予防策
3 2030年,「子供たち」が笑い合うために何が不可欠か
●自分なりに考える:なぜ私たちは「原発問題」を放置してきたのか?
第15章 「人間」という厄介な「生き物」
1 ベルリン上空高く,「天使」はおのれの「無力」を嘆く
2 殺人が「罪悪」であることすら,人間は忘れかけている
3 「善/悪」を決め難い時代に「対話」を継続するために
●自分なりに考える:「電子化された私」の生活基盤はどこにあるか?
終 章 「教室」という「異世界」での闘い
あとがき
用語集
索 引
ISBN:9784623085552
。出版社:ミネルヴァ書房
。判型:A5
。ページ数:320ページ
。定価:3200円(本体)
。発行年月日:2019年04月
。発売日:2019年03月26日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QDX。