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社会保障制度の高齢化への挑戦 31

世代間の連帯契約で新たな制度を構築する

著:アンヌ=マリー・ギルマール
著:藤森 宮子

紙版

内容紹介

高齢化が進む中、中高年が職場から離れないから若い世代が座る席がない、とされ、多くの国で早期退職制度が導入されてきた。しかし実際に雇用率が増加し、退職者の年金の増加分を上回る税収は得られたのか。本書では、各国の早期退職制度を詳細に比較し、目的とされた効果をあげているか分析した。その上で社会保障制度が効果的な対策を行って来たかを検証し、新たな世代間契約という概念の、多元的な社会保障制度を提案する。
(原著Les Défis du Vieillissement. Âge emploi, retraite : perspectives internationales, second edition. by Anne-Marie GUILLRMARD. Armand-Colin, Paris, 2010)

目次

日本語版への序文



 第Ⅰ部 高齢化とその課題への考察

第1章 人口の高齢化と進む長寿化:ライフサイクルに適した社会生活時間の新たな配分

 雇用と退職のための世代間連帯の再考
 相互に矛盾する変動
 社会が年をとる:二つの高齢化
 人口の高齢化と年齢の社会的意味
 研究戦略としての国際比較
 比較分析の理論的枠組み
 本書の構成


第2章 労働市場におけるシニアたち:キャリア後半期の不確実性

 シニアの労働市場への参加の低下
 キャリア後半期の脆弱化
 脆弱化の連鎖
 早期退職文化の構築における労働市場のアクターたち
 結 論



 第Ⅱ部 年齢と労働:就労人口の高齢化の課題


第3章 キャリア後半期の就労に関する比較理論の構築

 公共政策分析の核心、労働と社会保護をつなげる弁証法
 キャリア後半期の対照的な職業経歴の軌道が物語る、4種の公共政策の配置構造
 キャリア後半における、代表的な4つの軌道
 公共政策の配置構造、年齢文化と典型的な軌道


第4章 公共政策の配置構造と職業寿命の根源にある年齢文化

 大陸型レジーム:向老期就労者の雇用に反する保護体制。フランスの事例
 フランス:現役生活から早期退職の文化に閉じ込もり
 スウェーデン:向老期就労者の参入を促進する公共政策の配置構造
 日本:年配労働者の就労維持に関する公的規制
 英国:就労を市場の自由な働きに委ねる公共政策


第5章 労働力の高齢化に直面する企業

 高齢化と人手不足:新たな難問
 就労人口の高齢化の難問
 就労人口の収縮の難問
 人口ピラミッドの高齢化をしばしば人為的に引き起こした企業
 国によって規模が異なる重要課題
 年齢に関する企業の行動論理と公共政策:比較研究の視座
 公共政策に関する国の配置構造に対する会社の行動論理。グローバルな比較研究アプローチ
 日本とフランスにおける公的手段に対する企業慣行
 経済活動アクターと国の連携:比較から学ぶこと


第6章 早期退職傾向を反転:改革の障害と革新

 改革が変えるもの、分析の概要へ
 新たな公的意思と制度上の障壁
 オランダとフィンランドで成功した改革の軌道
 比較研究からの教訓



 第Ⅲ部 社会生活時間の変革と年金制度の変化


第7章 より柔軟なライフコース、社会保護への新たな挑戦

 産業社会の3段階の時間性モデルの崩壊
 ライフコースの脱制度化、行路の脱標準化、経験的諸要素にみる国際比較
 柔軟な時間性での安全性の担保
 社会保護の配置構造改編


第8章 新しい長寿化社会における年金と雇用のための世代間社会契約の再構築

 比較分析から得られた2大原則
 シニアの雇用と年金改革、国際比較から見るフランスの遅延の理由
 世代契約、雇用対策から年齢区分を断ち切るオランド大統領の目玉施策
 教育、雇用、年金について、多様な年齢と世代間の、新しい連帯へ



引用参考文献
訳者あとがき
人名索引
事項索引

著者略歴

著:アンヌ=マリー・ギルマール
2018年12月現在
パリ デカルト ソルボンヌ大学名誉教授。フランスの社会学者。社会保護,年金制度,雇用に関する国際比較研究で国際的に評価されている。
著:藤森 宮子
2018年12月現在
金城大学元教授。日本介護福祉学会評議員。
パリ デカルト大学社会科学博士。早稲田大学大学院文学研究科仏文学修士。

ISBN:9784623084920
出版社:ミネルヴァ書房
判型:A5
ページ数:328ページ
定価:4000円(本体)
発行年月日:2019年02月
発売日:2019年02月04日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JKS