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情報がつなぐ世界史 6

著:南塚 信吾

紙版

内容紹介

世界をつなぐ重要な担い手、「情報」。本書では、印刷術発明以前の「写本」「世界図」「人物図」にはじまり、「書籍」「新聞」「雑誌」など印刷物による伝達手段を経て、さらに一九世紀以降のマスメディアの展開として、「電信」「映画」「テレビ」「インターネット」を取り上げる。それぞれの媒体がいかにして情報を伝え、世界をつなぎ、どのような世界史像を生み出したのかを検討するとともに、どのように世界の一体化を促進し、世界史に新たな問題をもたらしたのかについても読み解く。

目次

序 論 情報がつくる世界史(南塚信吾)


 第Ⅰ部 文字と図による伝達

第1章 写本が伝える世界認識(大塚 修)
 1 イスラーム史研究と写本
 2 普遍史書における世界認識の図表化の萌芽
 3 普遍史書における世界認識の図表化の成熟
 4 『選史』が後世の普遍史書に与えた影響

第2章 世界図はめぐる(応地利明)
 1 プトレマイオス世界図と中国発同時代地理情報
 2 古今華夷区域揔*要図──中国王権思想の正統図
 3イドリースィー図と古今華夷区域揔*要図──地図情報の東西交流

コラム1 地図屏風に見る世界像(三好唯義)


 第Ⅱ部 印刷物による伝達
 
第3章 書籍がつなぐ世界──『千一夜物語』(杉田英明)
 1 写本から書籍へ
 2 さまざまな翻訳
 3 異文化を見る窓
 4 非ヨーロッパ世界での受容

コラム2 書籍商としての長崎屋(片桐一男)
 
第4章 近代的新聞の可能性と拘束性──日露戦争の時代における新聞のメディア的変容(加藤裕治)
 1 「出来事を知らせる」ことの変容──日露戦争における新聞報道への熱狂
 2 初期新聞から近代的新聞へ──新聞報道の「誕生」とその意味
 3 新聞が報道する戦争と戦場?──「瞬間」と「俯瞰」から伝える
 4 新聞が報道する戦争と戦場?──「人」への興味から伝える
 5 日露戦争の新聞─初期新聞の時代と疑似環境化する時代の狭間で

コラム3 新聞の世界的ネットワーク(澤田 望)

第5章 イギリスのイラスト紙・誌が見せた19世紀の世界(東田雅博)
 1 イラスト紙・誌とは
 2 世界をどう見せたか──大博覧会
 3 アジアをどう見せたか
 4 アフリカをどう見せたか
 5 イラスト紙・誌が見せた世界

コラム4 世界をつなぐ郵便制度(星名定雄)

第6章 反奴隷制運動の情報ネットワークとメディア戦略(並河葉子)
 1 イギリスにおける反奴隷制運動
 2 『奴隷貿易廃止の歴史』にみる奴隷貿易廃止運動
 3 運動の広がり─西インド産砂糖ボイコット運動


 第Ⅲ部 信号・音声・映像による伝達

第7章 海底ケーブルと情報覇権(有山輝雄)
 1 「文明開化」とコミュニケーション
 2 海底電線をめぐる日本・清国・朝鮮三国関係
 3 朝鮮・清国陸上線と漢城・釜山線問題
 4 東北アジア地政学の中の朝鮮半島電信線
 5 東アジアにおける二重の情報覇権

コラム5 通信社の世界史(里見 脩)
 
第8章 アメリカの政府広報映画が描いた冷戦世界──医療保健援助船「ホープ号」をめぐって(土屋由香)
 1 USIS映画と冷戦
 2 USIS映画の概要
 3 『ホープ計画』とアメリカの対アジア医療保健援助
 4 USIS映画が描いた「世界の中のアメリカ」「アメリカから見た世界」

第9章 サイゴンの最も長い日──ヴェトナム戦争とメディア(生井英考)
 1 情報とヴェトナム戦争
 2 プレスとメディアの戦争
 3 アプ・バクからテト攻勢へ
 4 残された傷

第10章 衛星テレビのつくる世界史(隅井孝雄)
 1 宇宙衛星時代のあけぼの
 2 宇宙に架ける対話の橋
 3 戦場からの生中継
 4 新しい情報通信時代への胎動

コラム6 インターネットとモバイル革命(大森義行)

人名・事項索引

著者略歴

著:南塚 信吾
2023年6月現在
一般社団法人やまなみ・世界史研究所所長
千葉大学・法政大学名誉教授

ISBN:9784623084708
出版社:ミネルヴァ書房
判型:A5
ページ数:322ページ
定価:5000円(本体)
発売日:2018年11月24日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:NHB