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発達心理学[第2版] 3

周りの世界とかかわりながら人はいかに育つか

編:藤村 宣之

紙版

内容紹介

発達心理学の基本的な知識や概念、考え方を知るための入門書。人間が他者や社会、文化といった周りの世界と関わりながら、乳児期から老年期まで生涯を通じて発達していく存在であることをわかりやすく伝える。認知・言語の発達や、パーソナリティ・対人関係の発達、さらに文化や教育といった発達をとりまく世界について概説する。最新の研究成果や統計資料等をふまえて9年ぶりに大幅な修正を加えた改訂版。

目次

はしがき


1章 乳児期①:世界を知りはじめる(旦 直子)

   ・生まれつき,何をどこまでわかっているのか?
   ・周りの世界をどのように見ているのか?

 1 知覚の発達
 2 認知の発達
 3 言語の発達
 4 乳児期の発達のメカニズム
 コラム おもちゃが斜めに落ちたらおかしい?


2章 乳児期②:人との関係のはじまり(常田美穂)

   ・ヒトの赤ちゃんは他者との関係をどのように築きはじめるのか?
   ・感情の共有はどのようにしてなされるのか?
 1 乳児が自力では移動できないということの意味
 2 「他者とともにいる」とはどのようなことなのかを学ぶ
 3 コミュニケーションのはじまり
 コラム ヒトの個体発達における養育者の役割


3章 幼児期①:今・ここの世界からイメージとことばの世界へ(郷式 徹)

   ・どのように目の前にないものをイメージできるようになっていくのか?
   ・自分/他人の心の理解とことばの発達やコミュニケーションはどのように関係するのか?

 1 表象の獲得としての幼児期の知能・認知の発達
 2 幼児期前半——感覚・知覚からの表象の分離が始まる
 3 幼児期後半——表象と表象の関係を表象し始める
 4 不適切な反応に対する抑制能力の発達
 5 社会的知能の拡大としての表象能力
 コラム 知能と認知スタイル


4章 幼児期②:自己の育ちと他者との関係(小松孝至)

   ・自分への気づきはどのように現れるのか?
   ・他者とかかわる中で育つ子どもの自己はどのようなものか?

 1 子どもの「意図」の明確化と自分への気づき
 2 友だちとのかかわりと自己の行動のコントロール
 3 子どもの「個性」のなりたち
 4 経験をことばにすることの意味
 5 自己の発達とコミュニケーションの重要性
 コラム 経験を話すことの意味と親からの働きかけ


5章 児童期①:思考の深まり(藤村宣之)

   ・子どもの考え方とおとなの考え方はどのように異なるのか?
   ・勉強がわからなくなりはじめるのはいつか? それはなぜか?

 1 論理的思考のはじまり(小学校低学年:7,8歳)
 2 具体的事象の概念化と思考の計画性(小学校中学年:9,10歳)
 3 現実を超えた思考のはじまり(小学校高学年:11,12歳)
 4 児童期における発達と教育のかかわり
 コラム 子どもは商品の値段のしくみをどのように推測するか?


6章 児童期②:集団の中で育まれる社会性(清水由紀)

   ・友だちとの関係はどのように変化していくのか?
   ・集団生活の中で何を学んでいくのか?

 1 集団生活のはじまりと自己概念の発達
 2 友人関係のひろがり
 3 コミュニケーションを支える他者理解の発達
 4 道徳性と思いやりの発達
 コラム 年少の子どもは「結果主義」?


7章 青年期①:自分らしさへの気づき(天谷祐子)

   ・自分らしさにどのように気づいていくのか?
   ・どのように自分の進路を見出していくのか?

 1 身体の変化と自分への意識
 2 他の人にはない自分らしさとは?
 3 進路選び——自分らしさを具現化していくひとつの手段
 コラム 自我体験——「私はなぜ私なのか」という問い


8章 青年期②:他者を通して自分を見る(加藤弘通)

   ・学校での活動を通じて何が変わっていくのか?
   ・問題行動はなぜ生ずるのか?

 1 臨床事例から見る青年期の特徴
 2 青年期における人間関係と心の変化
 3 青年期と問題行動
 コラム 〈荒れる〉学校の「問題行動をしない生徒」が持つ問題


9章 成人期:関係の中でのとまどいと成熟(松岡弥玲)

   ・結婚,出産,子育てといったライフイベントの影響はどのようなものか?
   ・人生の半ばを過ぎたという実感は,心にどのような影響を及ぼすのか?

 1 成人期とはいつか?
 2 家族を作る——生涯の伴侶を見つけ,子を産み育てること
 3 女性・男性にとっての仕事と家庭
 4 人生の折り返し地点——自己の問い直し
 コラム 円満な結婚生活を送るには?


10章 老年期:人生の振り返り(伊波和恵)

   ・私たちはどのように老いてゆくのか? その老いの過程で,何を得,何を失ってゆくのか?
   ・高齢者は自らの生をどのように振り返り,どのように死に臨むのか?

 1 老い——喪失と適応のプロセス
 2 現代日本での幸せな老いとは?
 3 老年期の心理的ケア
 コラム お墓をどうしますか?


11章 文化と発達(榊原知美)

   ・文化によって発達の様相は異なるのか?
   ・世代を超えて何がどのように伝えられるのか?

 1 発達と文化の関係を探る
 2 保育・教育を方向づける文化的信念
 3 学習を支えるコミュニケーション
 4 実践の中での学習
 コラム 数を重視する日本文化


12章 教育と発達(藤田 豊)

   ・他者とのかかわりの中で発達はどのように進むのか?
   ・教育によって発達の過程は促進しうるのか?

 1 保育・授業の中の子どもの観察からの問いかけ
 2 他者との関係における自己の発達——大人—子ども,子ども—子どもの関係に埋め込まれた発達課題
 3 子どもの概念世界の拡がり・深まりと教育との関係——最近接発達領域
 4 精神間機能から精神内機能へ——他者との関係の中で進む子どもの学習と発達
 5 「教育」と「発達」に関する素朴理論——私の中の「教えるとは・育つとは」を問う
 6 教育は発達の過程を促進するか?
 コラム もうひとつの社会的相互作用——子どもどうしの教え合い・学び合い


索  引

著者略歴

編:藤村 宣之
*2018年12月現在
東京大学大学院教育学研究科 教授

ISBN:9784623084630
出版社:ミネルヴァ書房
判型:A5
ページ数:274ページ
定価:2500円(本体)
発売日:2018年12月27日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JMC