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変動のマクロ社会学

ゼーション理論の到達点

編著:金子 勇

紙版

内容紹介

日本の理論社会学の夜明けとなった高田保馬『社会学原理』(1919)、世界の理論社会学に衝撃を与えたパーソンズ『社会システム』(1951)以降の諸理論を踏まえ、社会変動を階層、権力、地域社会、集団の4つの変動カテゴリーに分解しつつ、新たに総合化した。この真摯な知的営みが、マクロ社会学の「予見する力」を強化する。2017年に完結した「講座・社会変動」(2001―2017)の成果を活かして、変動研究のマクロ社会学の到達点を示す。

目次

はじめに

序 章 社会変動の理論へ向けて――「実感信仰」と「理論信仰」のはざまで(金子 勇)
 1 「実感信仰」と「理論信仰」
 2 社会変動への現代的視点
 3 一般社会変動論と自己組織論
 4 階層構造の変容
 5 権力構造の動態と権力の理論
 6 集団構造の変動と地域社会の変容
 7 社会変動の一般理論を求めて

第1章 産業社会から環境リスク社会へ――現代社会の社会変動再論(寺田良一)
 1 産業社会と環境社会
 2 産業社会から環境社会へ――環境運動の制度化の進展
 3 環境運動の制度化の進展と環境管理イデオロギー
 4 「エコロジカルな近代化」論と「生産の踏み車」論
 5 環境リスク社会における「環境正義」運動の可能性

第2章 アーバニズムとネットワーク(森岡清志)
 1 アーバニズムをめぐる問題
 2 専門処理と相互扶助的処理
 3 アーバニズム――都市的生活様式
 4 親密なネットワークからの解放

第3章 機能分化社会のマスメディア――報道するシステムと知のあり方(佐藤俊樹)
 1 マスメディアと社会科学の現在
 2 メディア技術と現代社会
 3 超マスメディア社会へ
 4 不特定メディアとして
 5 消費者と「受け手」の間で
 6 「ニュース価値」の不確定性
 7 自己準拠するマスメディア
 8 逆立する「公共性」
 9 機能分化社会での「新しさ」
 10 マスメディアの循環
 11 ニュースの枠がニュースを造る
 12 メディア企業と発言する個人
 13 法人であることの意義
 14 「公共性」の論証問題
 15 マスメディアの現代的課題

第4章 現代日本における階層化の様相(近藤博之)
1 不平等に対する関心
2 日本の階層状況を可視化する
3 相同性仮説の検証
4 学校化社会と階層

第5章 情報社会と社会システム――文化変容とネットワーク(正村俊之)
 1 現代社会のターニングポイント
 2 技術と社会の関係
 3 21世紀の情報技術
 4 時空的秩序の再編
 5 リアルとバーチャルの融合
 6 政治・経済・文化の交差――文化産業としての観光

第6章 日本社会の「国際化」と国際社会学――方法論的ナショナリズムを超えて(小ヶ谷千穂)
 1 「国際社会学」の問いは変わったのか
 2 「国際社会学」の誕生と、『国際化とアイデンティティ』が示唆したこと
 3 日本社会と「外国人」――過去15年を振り返る
 4 方法論的ナショナリズムをいかに超えていけるか――ジェンダー視角からの国際社会学の課題
 5 「日本人」「外国人」の二項対立の限界――「国際化とアイデンティティ」を真に問う次元
 6 国際社会学のこれまでと、これから

第7章 「少子化する高齢社会」の構造と課題(金子 勇)
 1 新しい高齢社会対策大綱
 2 エイジング研究の諸理論
 3 社会変動としての少子化と高齢化
 4 少子化と少子社会
 5 アクティブエイジングの実証的研究と少子化研究
 6 地方創生論における高田人口方程式の応用

第8章 無縁と貧困の時代診断――21世紀初頭日本の社会問題(藤村正之)
 1 「明るい不安社会」という認識
 2 関係をめぐる困難――関係の過小と過剰
 3 貨幣をめぐる困難――貧困の再発見と世代での現出
 4 社会問題への社会学的まなざし
 5 その先の社会のゆくえ――分断と自壊

人名・事項索引

著者略歴

編著:金子 勇
北海道大学名誉教授

ISBN:9784623084500
出版社:ミネルヴァ書房
判型:A5
ページ数:344ページ
定価:5500円(本体)
発行年月日:2019年01月
発売日:2019年01月20日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JHB