叢書・知を究める
ホモ・サピエンスの15万年 15
連続体の人類生態史
著:古澤 拓郎
内容紹介
科学で解読する人類の歴史
男女の性差、人種、文化‥異なるものすべてを連続体(スペクトラム)で理解する。
本書では、生物学・医学・地理学・社会学・人口学等さまざまな分野と関連した人類生態学という視点をもとに、ホモ・サピエンスの歴史一五万年をたどっていく。男女の性差や人種、文化など、異なることを二項対立的に思考するのではなく、一つの連続するものとしてとらえることで、人類にとっての異文化理解、多様性のあり方を問う壮大な試み。
目次
序 章 スペクトラムで人類の歴史を見る
第一章 人間の起源から
1 人間の壮大な旅と個人的なコンプレックス
2 肌の色では何も区別できない
3 体格の違いは適応なのか
4 人種という区別を考える
第二章 生物としての私たち人間
1 性別を連続的に見る
2 フェロモンで異性を惹きつけられるか
3 食人習慣とプリオン病と進化
4 オランダ飢餓の冬とエピジェネティクス
第三章 文化の基底
1 生業と食べ物による適応
2 個人主義化した社会のうつ病
3 東アジアの人は酒に弱いのか
4 自然をみて季節を知る暦
第四章 行動の進化
1 なぜ男は狩りをするのか
2 伝統社会は自然を保護してきたのか(1)──最適採食理論から
3 伝統社会は自然を保護してきたのか(2)──保全倫理から
第五章 病気の起源
1 感染症と適応
2 適応が病気のもと(1)──肥満と糖尿病
3 適応が病気のもと(2)──塩と高血圧
4 マラリアとDNA
第六章 現代の課題
1 人間における格差の始まり
2 「喪われた女性たち」は差別か適応か
3 持続可能性は「可能」か──二つの島の物語
4 世界食料危機とアジアの食文化
終 章 永遠の生命・一つの連続体
参考文献
むすびにかえて
人名・事項索引