子どもが育つということ
身体と関係性の発達臨床
著:山上 雅子
内容紹介
養育者や支援者,きょうだいやともだちとの関係の中で,子どもはどのように発達の課題に向き合っていくのか。姿勢・運動発達や排泄の自立などにおいて,からだとこころはどのように育っていくのか。自閉症児への支援には,どのような発達の視点が必要か。虐待などの不適切な養育環境で育った子どもは,どのように育ち直していくのか。本書では,著者が40年以上にわたって発達臨床の現場で出会ってきた子どもたちや,彼らにかかわるおとなたちの様々な姿を通して,子どもの育ちをめぐる問題について考察している。
目次
はじめに
第1章 からだをもった存在としての育ち──乳児の姿勢・運動発達
1 姿勢の循環活動
2 飛行機の姿勢の循環活動
3 姿勢活動から身振りへ
第2章 自閉症児のからだとこころの育ち
1 自閉症と情動行動
2 自閉症児の関係性と情動行動
3 自閉症児の姿勢・運動発達
4 情動と自傷行為
第3章 日常の場での育ち
1 乳児保育室での観察
2 育つということの謎を解く視点
第4章 自閉症児への発達支援と残された問題
1 自閉症児への支援と発達の視点──愛着形成の発達的意義
2 身体の社会化──排泄の自立という課題を通して
3 描画表現と意味世界
第5章 発達における“母”
1 母という他者
2 子育て支援の現場から──母子関係の多様性
3 母親をめぐるきょうだい間葛*藤
4 母親の内的表象と母子関係
第6章 不適切な養育環境と子どもの育ち
1 養育環境の安定性
2 思い出と自己形成
3 崩れた家庭機能と虐待
4 保護された子どもの新たな生活の場
5 育ち直すということ
第7章 育ちと関係の多様性
1 幼児期のともだち関係──親子関係からともだちへ
2 学童期のともだち関係と発達の節目
3 前思春期と内的世界
おわりに
文 献