イギリスはいかにして持ち家社会となったか
住宅政策の社会学
著:スチュアート・ロー
訳:祐成 保志
内容紹介
本書は、ハウジングを社会政策のなかに明確に位置づけ、国際比較の観点を取り入れながら、英国の住宅政策の歴史と現在を描き出した一冊。福祉国家の変容をとらえ、その未来を構想するうえで、ハウジングを理解することがいかに重要かを説く。(原著 Stuart Lowe, 2011, The Housing Debate, Policy Press.)。
目次
刊行にあたって
はしがき
凡例
第1章 議論の土台
1 はじめに
2 制度と変化
3 ハウジングにかかわる概念・専門用語
4 ハウジング・システムの諸類型
5 ハウジングと福祉国家の諸制度
6 結論
第2章 住宅政策という発想――ヴィクトリア朝後期の住宅市場危機
1 はじめに
2 都市化と民間賃貸中心の住宅供給
3 「住宅政策」の誕生
4 誰が労働者に住宅を供給するのか
5 結論
第3章 持ち家社会の誕生――1918~39年の戦間期
1 はじめに
2 戦争がもたらしたもの
3 アディソン法とその限界
4 民間賃貸セクターに対する補助金――1923年住宅法
5 1924年住宅法――「ウィートリー法」
6 郊外の拡大
7 貧困層に住まいを与えるには
8 結論
第4章 持ち家社会の成長――1945~75年の戦後期
1 はじめに
2 なぜ住宅政策の立ち上がりは「早かった」のか
3 住宅供給計画を主導するのは国か、それとも市場か
4 戦後福祉合意と保守党の住宅政策観
5 公営住宅の建設はつづいた
6 労働党と持ち家
7 結論
第5章 経済のポスト工業化とハウジング
1 はじめに
2 グローバル化と福祉国家
3 新しい地理的配置
4 社会住宅の残余化
5 公営住宅の緩慢な死
6 結論
第6章 ハウジングと福祉国家
1 はじめに
2 福祉国家論におけるハウジングの軽視
3 収斂から分岐へ
4 ケメニーのハウジング・レジーム論
5 資本主義の多様性
6 結論
第7章 住宅ローン市場のグローバル化
1 はじめに
2 住宅ローン市場のグローバル化
3 国ごとの違い
4 住宅ローン商品の多様性
5 結論
第8章 アセット・ベース型福祉国家に向けて
1 はじめに
2 福祉国家の変化に「ハウジング」が与える影響
3 「重大なトレードオフ」論争
4 新興アセット・ベース型福祉国家としての英国
5 結論
第9章 結論
1 はじめに
2 長期持続とハウジング
3 公営住宅の緩慢な死
4 ハウジングと福祉国家
訳者解説
文献一覧
索引
コラム
1-1 制度の定義
1-2 変化のとらえ方
1-3 本書の構成の概要
1-4 定義
1-5 「ホーム」の概念
1-6 ポスト共産主義のハウジング
2-1 英国とドイツのハウジングはどのように分岐したのか
3-1 クリストファー・アディソン(1869~1951年)
3-2 保守党はなぜウィートリー補助金を継続したのか
3-3 レイモンド・アンウィンの生涯(1863~1940年)
3-4 ジョージ・オーウェル『ウィガン波止場への道』(1937年)からの抜粋
4-1 ダドリー委員会
4-2 1957年家賃法
4-3 1977年住宅緑書
5-1 グローバル化とは何か
5-2 「買い取り権」
5-3 社会住宅の緩慢な死
6-1 ハウジング形態の違いが福祉に対する態度を左右するのはなぜか――ケメニーの発見
6-2 エスピン=アンデルセン『福祉資本主義の三つの世界』(1990年)
6-3 統合的賃貸市場
6-4 資本主義の多様性
6-5 居住資本主義の多様性
6-6 オランダの統合的賃貸住宅市場が直面する課題
7-1 二次的住宅ローン市場と証券化
7-2 ドイツのハウジング・システム
7-3 イタリアの住宅ローン市場
7-4 旧共産主義国ロシアのハウジング――市場なきプライベート・ハウジング
7-5 さまざまなタイプのエクイティ引き出し
8-1 日常生活の「金融化」
8-2 アセット・ベース型福祉という発想
8-3 ガーニーの「正常化言説」論
ISBN:9784623079100
。出版社:ミネルヴァ書房
。判型:A5
。ページ数:336ページ
。定価:5500円(本体)
。発行年月日:2017年09月
。発売日:2017年09月10日
。国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JBF。