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フランスでは学力をどう評価してきたか

教養とコンピテンシーのあいだ

著:細尾 萌子

紙版

内容紹介

本書は,1920年代から現在までの,フランスの中等教育における学力評価論の展開を,理論と制度と実践の三層から明らかにする。アメリカやOECD,EUの学力評価論がフランスにいかに受容され,制度や実践として具体化されてきたのを歴史的に検討し,学力・評価観がどのように変化してきたのかを描き出す。伝統的に重視されてきた「教養」と新たに重視されている「コンピテンシー」との折り合いをつけようとしているフランス教育のあり方は,現在の日本の教育に多くの示唆を与える。

目次

はしがき

序 章 フランスの学力評価の特徴
 1 本書の対象
 2 先行研究の整理
 3 本書の目的と方法

 第Ⅰ部 伝統的な学力・評価観の揺らぎ
第1章 「ドシモロジー」の展開——1920~1930年代・1960~1970年代
 1 ドシモロジーの成立の背景
 2 1930年代までの初期ドシモロジーをめぐる論点
 3 1960~1970年代のドシロモジーの展開とその批判
 4 ドシモロジーが担った歴史的役割
 5 ドシモロジーと「メジャメント」運動の比較
 6 まとめ

第2章 「目標に基づいた教育学」の展開——1970~1980年代
 1 「目標に基づいた教育学」の理論枠組み
 2 「目標に基づいた教育学」の導入・展開
 3 「目標に基づいた教育学」をめぐる論争
 4 「目標に基づいた教育学」の歴史・地理の実践例
 5 「目標に基づいた教育学」とマスタリー・ラーニングの比較
 6 まとめ

 第Ⅱ部 教養とコンピテンシーの相克
第3章 コンピテンシーという新しい能力概念——1980年代以降
 1 コンピテンシー概念の導入の背景
 2 フランスのコンピテンシー概念の内実
 3 まとめ

第4章 「コンピテンシー個人簿」に見る新しい評価観
 1 「コンピテンシー個人簿」の制度枠組み
 2 「コンピテンシー個人簿」の実践モデル
 3 「コンピテンシー個人簿」の活用の実際
 4 まとめ

第5章 コンピテンシーをめぐる基礎学力論争
 1 「知識とコンピテンシーの共通基礎」制定まで
 2 共通基礎に対する教員の反発と賛同
 3 共通基礎の再定義に向けた国会の議論
 4 まとめ

第6章 コンピテンシーを育むポートフォリオ法の実践
 1 制度としての「個別学習支援」
 2 ポートフォリオ法の導入の契機
 3 ポートフォリオ法の独自性
 4 まとめ

終 章 フランスの学力・評価観の変遷——本書で得られた知見
 1 本書の結論
 2 今後の課題

補 章 日本への示唆
 1 日本の学力評価の特徴
 2 日本の学力評価の現状
 3 フランスを鏡とした学力評価の三つの論点

引用・参考文献
あとがき
人名索引
事項索引

著者略歴

著:細尾 萌子
2021年5月現在 立命館大学文学部 准教授

ISBN:9784623078790
出版社:ミネルヴァ書房
判型:A5
ページ数:274ページ
定価:6000円(本体)
発行年月日:2017年02月
発売日:2017年02月18日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JNB