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21世紀の哲学をひらく

現代思想の最前線への招待

編著:齋藤 元紀
編著:増田 靖彦

紙版

内容紹介

21世紀に入りすでに10年以上が経過した現在、現代の哲学・思想はどう展開し、何が論点になっているのか。本書では、多様化と分散を続け、不透明さを増しているようにみえる現代の哲学・思想の論点を探るための水先案内人となるべく、現代を代表する哲学者・思想家が共有している根本的な論点を究明し、読者がみずから思考する入口を提供することを目指す。現代の哲学を読み解くための、待望の思想地図。

目次

はしがき

 第Ⅰ部 現代のフランス・イタリア哲学
第1章 哲学と〈政治〉の問い(柿並良佑)
    ――ラクー=ラバルトとナンシー
 1 〈政治〉をめぐって
 2 新たな哲学の位置を求めて
 3 〈哲学の終焉〉の後で

第2章 主観性の生産/別の仕方で思考する試み(増田靖彦)
    ――フェリックス・ガタリを中心にして
 1 プルーストを読む
 2 ガタリの思想
 3 備考――ネグリとの邂逅

第3章 生の現象学(川瀬雅也)
    ――ミシェル・アンリ、そして木村敏
 1 「歴史的現象学」の基本姿勢
 2 リアリティとアクチュアリティ
 3 ロゴスとパトス
 4 個体の個体性
 5 生と〈生〉
 6 「生の現象学」という課題

第4章 「寄生者」の思想(信友建志)
    ――ジャック・ラカン
 1 他者と寄生者
 2 鏡と想像的なもの
 3 象徴的なものと死
 4 裂け目、余剰、そして現実的なもの
 5 性関係の不在、そして愛

第5章 イタリアの現代哲学(鯖江秀樹)
    ――ネグリ、カッチャーリ、アガンベン、エスポジト、ヴァッティモ、エーコ
 1 ネグリとカッチャーリ――帝国をめぐって
 2 アガンベンとエスポジト――生政治をめぐって
 3 ヴァッティモとエーコ――解釈と記号の多元性
 4 イタリア現代思想の戦略

 第Ⅱ部 現代のドイツ哲学
第6章 「実践哲学の復権」の再考(加藤哲理)
    ――ハーバーマス、ルーマン、ガーダマー
 1 実践哲学の復権
 2 ポスト形而上学時代の批判理論――ユルゲン・ハーバーマスと社会哲学の使命
 3 観察としての理論――ニクラス・ルーマンと社会システム理論
 4 理論を讃えて――ハンス=ゲオルグ・ガーダマーと哲学的解釈学

第7章 アレゴリーとメタファー(齋藤元紀)
    ――ベンヤミンとブルーメンベルク
 1 ベンヤミンとブルーメンベルクの《修辞の思考》
 2 ベンヤミンの生涯
 3 ブルーメンベルクの生涯
 4 ベンヤミンのアレゴリー的思考
 5 ブルーメンベルクのメタファー的思考
 6 《修辞の思考》の目指すもの

第8章 批判理論(入谷秀一)
    ――アドルノ、ホネット、そしてフランクフルト学派の新世代たち
 1 理性の苦悩――フランクフルト学派第一世代の主要テーマ
 2 承認をめぐる苦悩――アドルノからハーバーマス、そしてホネットへ
 3 ホネット承認論の展開
 4 不透明性との対決――批判理論の新たな世代

 第Ⅲ部 現代のイギリス・アメリカ哲学
第9章 日常性への回帰と懐疑論の回帰(荒畑靖宏)
    ――スタンリー・カヴェル
 1 日常言語哲学の方法
 2 日常性への回帰と共同体への要求
 3 懐疑論の回帰・悲劇・映画

第10章 「芸術」以後(三松幸雄)
    ――音楽の零度より ジョン・ケージ
 1 問題圏への導入
 2 音・楽音・沈黙
 3 芸術の存在論
 4 音楽の零度へ
 5 人間以後の音楽へ

第11章 性/生の可能性を問う政治哲学(清水知子)
    ――ジュディス・バトラーの思想
 1 欲望のエコノミー
 2 異性愛のマトリクスとメランコリー
 3 暴力・哀悼・可傷性
 4 身体の存在論と倫理

第12章 ナンセンスとしての倫理(河田健太郎)
    ――コーラ・ダイアモンドの『論考』解釈
 1 フィッカーへの手紙
 2 『論考』の序文と結論
 3 『論考』の目的と構造
 4 信念帰属の問題と『論考』の手続き
 5 『論考』が倫理的であるということ

第13章 分析哲学(齋藤暢人)
    ――現代の言語哲学として
 1 名前の記述説
 2 指示の因果説
 3 内包論理の意味論と直接指示の理論
 4 指示と様相

あとがき
事項索引
人名索引

著者略歴

編著:齋藤 元紀
2016年5月現在高千穂大学人間科学部教授
編著:増田 靖彦
2016年5月現在龍谷大学経営学部准教授

ISBN:9784623075829
出版社:ミネルヴァ書房
判型:A5
ページ数:296ページ
定価:3500円(本体)
発行年月日:2016年05月
発売日:2016年05月18日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:QDHR