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〈わざ〉を生きる身体

人形遣いと稽古の臨床教育学

著:奥井 遼

紙版

内容紹介

近代教育が忘れた身体で学ぶ可能性の復権

目次

はじめに
凡  例

序 章 〈わざ〉の経験を記述する
 1 〈わざ〉研究の可能性と臨界——現場の豊かなやり取りを記述するために
 2 現象学的記述が開く「生きられた経験」
 3 フィールドとしての淡路人形座
 4 本書の構成


 第Ⅰ部 稽古——〈わざ〉と向き合い、応じる身体
導 論 ミクロなやり取りの記述に向けて

第一章 稽古を支える相互行為
 1 稽古場面の概要——『日高川嫉妬鱗』「渡し場の段」より
 2 身ぶりとして投じられる違和感
 3 手本の成立
 4 静止と再開による反復稽古
 5 稽古という「系」の中から

第二章 知識の参照点としての身体
 1 稽古場面の概要——『壺坂霊験記』「山の段」より
 2 身体図式の「崩壊」
 3 教え手ごとのアドバイスの相違
 4 暗黙の手本、知識の出現
 5 個人稽古と身体図式の模索

第三章 背景化される身体
 1 稽古場面の概要——『賤ヶ嶽七本槍』「清光尼庵室の段」より
 2 背景化しながら雄弁に語る身体
 3 頭遣いの一人語り
 4 運動的意味の諸相
 5 身体が結ぶコミュニケーションの諸相

第四章 生きられつつある型
 1 稽古場面の概要——『奥州秀衡有鬙壻』「鞍馬山の段」より
 2 〈打ち込み〉——身ぶりと言葉による稽古
 3 〈こじり六法〉——分析的思考と暗黙的動作の相補関係
 4 「流れ」「間」の習得——直示的「学び」を可能にする稽古の構造
 5 〈わざ〉の習得とは何か——重層性、偶発性、一回性

小 括 「暗黙知」から「なじみの知」へ


 第Ⅱ部 興行——〈わざ〉を継ぎ、演じる
導 論 等身大の伝統芸能の記述に向けて

第五章 「継ぐ」ことの手触り
 1 公共的な伝統芸能の誕生
 2 神事から芸能へ
 3 継ぐことの手触り

第六章 「淡路らしさ」を求めて
 1 復活公演の試み
 2 手作りの舞台——「図」としての舞台づくり
 3 身体化されゆく舞台空間——段取り稽古のやり取りから
 4 振りにおける「淡路らしさ」の追求
 5 臨機応変に舞う人形
 6 復活公演を通したわざの変容——「淡路らしさ」を求めて

第7章 「巡業」、あるいは等身大の駆け引き
 1 出張公演——「南九州小中学校出張公演」
 2 子どもと出会う人形遣いの身体
 3 等身大の駆け引き——出張公演における生徒=観客との対峙
 4 現代の「巡業」公演として

小 括 時間・空間を背負った〈わざ〉

終 章 〈わざ〉の臨床教育学に向けて
 1 生きた身体と「スタイル」
 2 身体による意味の発生
 3 身を投じた学びの生起

文献一覧
おわりに
索  引

著者略歴

著:奥井 遼
2015年4月現在
日本学術振興会海外特別研究員(ルーアン大学)

ISBN:9784623073610
出版社:ミネルヴァ書房
判型:A5
ページ数:354ページ
定価:6000円(本体)
発行年月日:2015年04月
発売日:2015年04月30日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:ATXM