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関係性の発達臨床

子どもの〈問い〉の育ち

編著:山上 雅子
編著:古田 直樹
編著:松尾 友久

紙版

内容紹介

発達障害やネグレクトの事例をもとに考察

目次

序 章 子どもの〈問い〉から教えられること(古田直樹)
 1 「一人暮らし?」
 2 「自分とは,いったい何者なのか?」
 3 「お母さんは子どものときに、友だちがいた?」
 4 〈問い〉を育てる関係性

 第Ⅰ部 他者への気づきと〈問い〉の始まり
第1章 安心を得るための〈問い〉
    ──周囲を巻き込むS君の二人一役ことば(佐野優美・古田直樹)
 1 はじめに
 2 S君の生育歴
 3 発達検査を通して見たS君
 4 S君の定型的なやりとり
 5 人を巻き込んだ繰り返しからコミュニケーションへ
 6 まとめと考察
 コメント 安心感を得るための〈問い〉に応える意味(古田直樹)

第2章 志向性を持つ他者の登場と〈問い〉
    ──自閉傾向のある子どもたちの自我のはじまり:〈能動─受動〉のやりとりから見る(北野享子)
 1 はじめに
 2 「追いかけっこ」のエピソード
 3 「お返事」のエピソード
 4 〈能動─受動〉の契機を含んだやりとりの流れ
 5 まとめと考察
 コメント “仕掛け”を作ることと〈問い〉の発展(古田直樹)

第3章 一元的ことばから対話的関係へ
    ──ことば遊びが広がっていったI君とのプレイセラピー(立花尚美)
 1 はじめに
 2 プレイセラピーまでの経過
 3 第1期:導入期
 4 第2期:分離不安とセラピストとの関係の発展
 5 第3期:見立てとことば遊びの出現
 6 第4期:いたずらと再現遊び
 7 第5期:ことば遊びの広がり
 8 第6期:再現遊びの広がり
 9 第7期:終結
 10 まとめと考察
コメント 発達の土台を埋める支援(古田直樹)

第Ⅰ部のまとめと考察──他者との出会いと〈問い〉の始まり(古田直樹)
 1 人と共有できる基盤
 2 共有から対話へ
 3 自己の対象化と対話的な関係性

 第Ⅱ部 〈問い〉の育ちを考える──新たな関係の始まり
第4章 応答的な他者に対する〈不確実性への問い〉
    ──自閉症スペクトラム障害児Y君へのコミュニケーション援助(松尾友久)
 1 はじめに
 2 プロフィール
 3 初回面接時におけるY君のコミュニケーション課題
 4 第1期:応答的コミュニケーションとコミュニケーションの成功体験
 5 第2期:自発的なコミュニケーションと共同性
 6 第3期:共同性から対話形成へ
 7 まとめと考察
 コメント 対話が深まるということ(古田直樹)

第5章 自己への〈問い〉、他者への〈問い〉
    ──他者理解と自己の成り立ち:自閉症スペクトラム障害児H君の2年間の療育経過(松尾友久)
 1 はじめに
 2 ケース概要と個別療育までの経過
 3 第1期:対話の形成へ
 4 第2期:〈問い〉の始まり
 5 第3期:自己の確立と時間の中での存在
 6 まとめと考察
 コメント 空間の共有から時間の共有へ(古田直樹)

第Ⅱ部のまとめと考察──自閉症スペクトラム障害児の〈問い〉が育つとは(松尾友久)
 1 対話の前提としての共同性
 2 主体的な表現としての語りが時間を超えるとき
 3 〈問い〉の育ち──推論行為と〈問い〉のコミュニケーション
 4 個別療育の重要性

 第Ⅲ部 ネグレクトを受けた子らの〈問い〉
第6章 身体が発する〈問い〉
    ──人と人とのつながりの「ここちよさ」を目指して(峯 優子)
 1 はじめに
 2 子どもたちの様子と職員の思い
 3 『ふれあいたいそう』の試み
 4 事例①:鉄の足のC君
 5 事例②:ひとりっこD君
 6 C君とD君と『ふれあいたいそう』
 7 まとめと考察
 コメント 身体が発する〈問い〉(古田直樹)

第7章 自分の育ちへの〈問い〉
    ──ネグレクトを理由に施設入所した幼児への発達支援の取り組み(立花尚美)
 1 はじめに
 2 生育歴と主訴
 3 療育教室としての方針
 4 筆者が引き継ぐまでの療育経過
 5 第1期:試し(新しい関係の構築)
 6 第2期:日常生活の再現(体験の語り)
 7 第3期:治療と食事(ケアの繰り返し)
 8 第4期:自己像と役割遊びの出現
 9 第5期:居場所の模索と自己効力感の高まり
 10 第6期:怒りの対象
 11 まとめと考察
 コメント 思いに動かされた〈問い〉(古田直樹)

第8章 心の受け皿としての他者と「私」
    ──N子ちゃんにとっての「家」「母」「自己」(古田直樹・本 明子)
 1 はじめに
 2 プロフィール
 3 第1期:〈問い〉の始まり
 4 第2期:〈居場所としての家〉の確立
 5 第3期:「母」を〈問う〉ことと〈赤ちゃんの自己〉
 6 第4期:自己形成
 7 まとめと考察
 コメント 心の受け皿と〈問い〉(古田直樹)

第Ⅲ部のまとめと考察──〈交替やりとり遊び〉と〈問い〉(古田直樹)
 1 〈交替やりとり遊び〉の重要性
 2 〈内なる課題〉に基づいた〈問い〉
 3 〈特定の他者〉の重要性

終 章 発達臨床における「関係性」の視点の復権(山上雅子)
 1 発達の視点──「心の理論」障害説と共同注意
 2 共同注意の認知的側面と関係的側面
 3 象徴機能
 4 関係性と意味形成
 5 K君の意味世界
 6 関係性の視点からの発達支援
 7 適応スキルと自己の空洞化──Fさんの問い
 8 友達が欲しい──40代で診断が下りたNさんの〈問い〉
 9 虐待的環境の中で育つ子どもの発達障害
 10 おわりに──「発達」の原動力としての「関係性」

著者略歴

編著:山上 雅子
2018年4月現在
心理相談室「ハタオリドリ」
編著:古田 直樹
2018年4月現在
京都市児童福祉センターに勤務
臨床心理士,臨床発達心理士
編著:松尾 友久
2014年9月現在
京都市児童福祉センター発達相談所診療療育課療育部門担当係長(言語聴覚士)

ISBN:9784623071395
出版社:ミネルヴァ書房
判型:A5
ページ数:242ページ
定価:2500円(本体)
発行年月日:2014年09月
発売日:2014年09月10日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JNS