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真実と修復

暴力被害者にとっての謝罪・補償・再発防止策

原案:ジュディス・L・ハーマン
訳:阿部大樹

紙版

内容紹介

〈社会のあり方から心的外傷が生じている以上、そこからの回復も、個人の問題プライベートではありえない。個々のコミュニティにある不正義によって外傷が生じているなら、傷を治すためには、より大きなコミュニティから対策を引きだして、不正義を修復しなくてはならない。
回復していく途上、難しい問いがさまざまに浮かび上がってくる。
皆の前でこのことを話せるか?
真実を、周りのひとは受け止めてくれるだろうか?
この傷は治るだろうか?
そのために何を差し出さなくてはならないのか?
どうして加害者と同じコミュニティに所属しつづけないといけないのか?
和解は可能か?
どうやって?
コミュニティはどうすれば現在の、そして将来の被害を防げるのか?
この問いに答えるため、私はもう一度、話を聞くことにした。生き延びたものたちの声である。皆のための、より良い正義を求めることのために本書はある〉

暴力被害者は何を求めているのか。加害者の謝罪やアカウンタビリティはどうあるべきか。補償や再発防止の具体策は、司法のあり方は。トラウマ問題のバイブル『心的外傷と回復』を継ぐ総決算の書。

目次

イントロダクション
方法論ノート

第一部 権力
第一章 専制による秩序
第二章 平等による秩序
第三章 家父長制

第二部 正義のヴィジョン
第四章 不正を認知すること
第五章 謝罪 
第六章 アカウンタビリティ

第三部 治癒
第七章 補償について
第八章 矯正
第九章 予防

終章 史上最長の革命

謝辞
訳語ノート
訳者あとがき
原注
索引

著者略歴

原案:ジュディス・L・ハーマン
(Judith L. Herman)
1942年ニューヨーク市生まれ。ラドクリフ・カレッジ卒業後、1964年ハーヴァード大学医学部入学、1968年卒業。マウント・オーバーン病院の研修医となり、その後近郊のサマーヴィル市で女性向け低額診療所を設立。ここでの経験をもとに1975年、児童性虐待についての共著論文「Father-Daughter Incest」を発表。1980年代にはケンブリッジ病院に本拠地を移し、「暴力被害者用プログラムVictims of Violence (VoV)」を設立した。ここが心的外傷の治療拠点となり、以後長年にわたる臨床と実践をつづけ、今日にいたる。ハーヴァード大学名誉教授。著書に、上記共著論文をもとにした『父-娘 近親姦』(Father-Daughter Incest、1981、C・ライト・ミルズ賞)、後に世界的ロングセラーとなる『心的外傷と回復』(Trauma and Recovery、1992、1997、2015、2022)があり、本書は著者の第三作になる。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。
訳:阿部大樹
(あべ・だいじゅ)
1990年新潟県生まれ。新潟大学医学部卒業。精神科医。著書に『Forget it Not』『翻訳目錄』。訳書にハーマン『心的外傷と回復 増補新版』(増補箇所の翻訳)、サリヴァン『精神病理学私記』『個性という幻想』、ベネディクト『レイシズム』、ペリー『ヒッピーのはじまり』、スティーブンズ『月かげ』がある。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

ISBN:9784622096900
出版社:みすず書房
判型:4-6
ページ数:264ページ
定価:3400円(本体)
発行年月日:2024年03月
発売日:2024年03月19日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:JBF