出版社を探す

ガリレオの中指

科学的研究とポリティクスが衝突するとき

著:アリス・ドレガー
訳:鈴木光太郎

紙版

内容紹介

著者アリス・ドレガーは科学史・医学史を専門とする歴史学者であり、インターセックスの権利の確立を求める活動家でもある。ドレガーは、アメリカにおける学術研究や医療を取り巻く事実と証拠の軽視、ひいては学問の自由の危機に警鐘を鳴らす。

インターセックスへの医療的介入、トランスジェンダーや性行動に関する科学的研究、人間の本性に関する人類学的考察といったテーマは、アイデンティティやイデオロギーの観点から物議をかもしやすい。論争の果てに、悪とみなされた研究者たちは、地位を追われることさえある。その姿は、宗教裁判で有罪とされたガリレオさながらである。しかし果たして、そうした「有罪判決」は事実にもとづいていたのだろうか? 必ずしもそうではない、とドレガーは述べる。ポリティカル・コレクトでない研究結果だからといって真実ではないわけではないし、ポリティカル・コレクトな主張だからといってそれが真実だとは限らない。
事実にもとづかない告発に脅かされる研究者や、科学的証拠にもとづかない医療の不利益を被る患者のために、なにが守られるべきなのか。真実を希求した一人の研究者による、渾身のルポルタージュ。日本語版刊行に寄せた著者による序文も収録。

目次

はじめに 日本語版に寄せて

序章 私のお守り
第一章 奇妙な見かけ
第二章 ウサギの穴に迷い込む
第三章 複雑に絡み合う糸
第四章 「ショー・ミー」の州にて
第五章 学会内部の腐敗
第六章 闇の奥へ
第七章 危険なビジネス
第八章 保護なき被験者
第九章 歴史は繰り返される?
終章 真実、正義、そしてアメリカ流
エピローグ ポストカード
あとがき なぜノースウエスタン大学を去ったのか?

謝辞

原注
索引

著者略歴

著:アリス・ドレガー
(Alice Dreger)
元ノースウエスタン大学教授。科学史・医学史を専門とする。書籍、雑誌・Webメディア記事、エッセイなどの執筆を手掛けるかたわら、TEDトークをはじめとして、これまでに200以上の講演を行なってきた。邦訳書に『私たちの仲間――結合双生児と多様な身体の未来』(針間克己訳、緑風出版、2004)がある。ほかの著書に、Hermaphrodites and the Medical Invention of Sex (Harvard University Press, 1998)、The Talk: Helping Your Kids Navigate Sex in the Real World (Amazon Kindle Singles, 2016) などがある。
訳:鈴木光太郎
(すずき・こうたろう)
元新潟大学教授。専門は実験心理学。著書に『増補オオカミ少女はいなかった』(筑摩書房、2015)、『謎解きアヴェロンの野生児』(新曜社、2019)、訳書にベリング『ヒトはなぜ自殺するのか』(化学同人、2021)、グラツィアーノ『意識はなぜ生まれたか』(白揚社、2022)などがある。

ISBN:9784622095323
出版社:みすず書房
判型:4-6
ページ数:432ページ
定価:5000円(本体)
発行年月日:2022年09月
発売日:2022年09月21日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:PDZ
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:PD