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皮膚、人間のすべてを語る

万能の臓器と巡る10章

著:モンティ・ライマン
訳:塩﨑香織

紙版

内容紹介

「自分」が皮膚の内側に隠れていると思ったら大間違い。皮膚こそ、自分そのものであり、つねに私たちを語っている。とくに、アイデンティティとの関連では皮膚の色に格別の関心が置かれがちだが、皮膚はもっとずっと多彩なやり方で私たち自身を形作っている。そして、健康、美容といった生活面はもちろんのこと、「哲学や宗教、言語にまで、単なる物質的なあり方をはるかに超えた影響力を及ぼしている」と著者はいう。
本書が提供するのは、著者の専門である科学・医学はもちろん、社会・心理・歴史などの領域を含む、広大な皮膚の世界を巡る旅だ。ポケットから鍵を取り出してドアを開けるという動作一つとっても、皮膚がどれほど精妙に機能しているか、もしあなたが意識したことがなかったなら、きっとこの本の随所に発見が待っている。
卓越した案内人である著者とともにこの大きな旅を終えたときには、知りたかったことすべてを見て回ったように感じられるだろう。自分の皮膚の実力を知るだけで、私たちは小さな支えを得る。なぜなら、「それはつまり、私たちが何者であるかを理解すること」だからだ。
米英で大好評を得た2019年《英国王立協会科学図書賞》最終候補作の、待望の邦訳。

目次

名称と用語について
プロローグ

第1章 マルチツールのような臓器
皮膚の構造とはたらき

第2章 皮膚をめぐるサファリ
ダニやマイクロバイオームについて

第3章 腸感覚
身体の内と外のかかわり

第4章 光に向かって
皮膚と太陽をめぐる物語

第5章 老化する皮膚
しわ、そして死との戦い

第6章 第一の感覚
触覚のメカニズムと皺

第7章 心理的な皮膚
心と皮膚が互いに及ぼす影響について

第8章 社会の皮膚
刻んだ模様の意味

第9章 分け隔てる皮膚
ソーシャルな臓器の危険な側面──疾病、人種、性別

第10章 魂の皮膚
皮膚が思考に及ぼす影響──宗教、哲学、言語について

本書に寄せて(椛島健治)
参考文献
用語解説
索引

著者略歴

著:モンティ・ライマン
(Monty Lyman)
オックスフォード大学医学部リサーチ・フェロー、皮膚科医。オックスフォード大学、バーミンガム大学、インペリアル・カレッジ・ロンドンに学ぶ。タンザニアの皮膚病調査についてのレポートで2017年にWilfred Thesiger Travel Writing Awardを受賞。初の単著である本書はRoyal Society Science Book Prize最終候補作になるなど高評を得た。ほかの著書にThe Painful Truth: The New Science of Why We Hurt and How We Can Heal(Bantam Press, 2021)。オックスフォード在住。
訳:塩﨑香織
(しおざき・かおり)
翻訳者。オランダ語からの翻訳・通訳を中心に活動。英日翻訳も手掛ける。訳書に、スクッテン/オーベレンドルフ『ふしぎの森のふしぎ』(川上紳一監修、化学同人、2022)、ステファン・ボイスマン『公式より大切な「数学」の話をしよう』(NHK出版、2020)、アンジェリーク・ファン・オムベルヘンほか『世界一ゆかいな脳科学講義』(河出書房新社、2020)、ほか。

ISBN:9784622090922
出版社:みすず書房
判型:4-6
ページ数:320ページ
定価:3200円(本体)
発行年月日:2022年05月
発売日:2022年05月11日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:VFD