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ヴェネツィアの石

著:ジョン・ラスキン
編:井上 義夫

紙版

内容紹介

1797年、「アドリア海の女王」ヴェネツィア共和国はナポレオン軍の侵攻により滅亡した。半世紀後の1848年、臨時政府「サン・マルコ共和国」樹立にいたるもオーストリア軍の圧倒的火力を前に1年余で消滅。ラスキンはその直後に5度目のヴェネツィア訪問を果たし、朽ちるがままの、あるいは修復の名のもとに破壊されていた建築遺産を目のあたりにする。

「この姿が永遠に消え去ってしまわないうちに、私は心してその細部の線をたどろうと思う。そして〈ヴァネツィアの石〉に弔鐘のごとく打ち寄せる波が侵蝕する一波ごとに口にする警告の言葉を、できうるかぎり記録しておこうと思う」

興隆期ビザンティンから絶頂期ゴシック、衰退期ルネサンスにいたるまで精緻かつ雄大に綴られた「水の都」の建築史。ターナー、ラファエル前派の発掘者・擁護者として知られ、ウィリアム・モリスやアーツ&クラフツ運動に影響を与えたラスキンの主著――生誕200年、その全体像を知るに最適のヴァージョン、ここに成る。

目次

第1巻 基礎篇
第1章 石切り場

第2巻 海の物語
〈初期、あるいはビザンティン期〉
第1章 玉座
第2章 トルチェッロ
第4章 サン・マルコ寺院
〈第2期、あるいはゴシック期〉
第6章 ゴシックの本質
第7章 ゴシック期の邸宅
第8章 ドゥカ―レ宮殿

第3巻 凋落篇
〈第3期、あるいはルネサンス期〉
第1章 初期ルネサンス
第2章 ロ―マ式ルネサンス
第3章 グロテスク・ルネサンス
第4章 結論

訳注
訳者解説
訳者あとがき

著者略歴

著:ジョン・ラスキン
英国ヴィクトリア朝の代表的な批評家。1819年、ロンドンに生まれる。1837年、オクスフォード大学クライスト・チャーチ校入学。卒業後の1843年、画家ターナーを擁護する目的で着手した『近代画家論』第1巻を刊行(全5巻、1860年完結)、美術批評家としての地歩を固める。1869-78年、オクスフォード大学スレイド記念美術講座担当教授(1883-85年再任)。『ヴェネツィアの石』(全3巻、1851-53)をはじめとする芸術批評=社会批評の著作群は後続のウィリアム・モリスやアーツ・アンド・クラフツ運動に大きな影響を与えた。1900年没。
編:井上 義夫
1946年、徳島県に生まれる。1974年、一橋大学大学院社会学研究科博士課程退学。一橋大学名誉教授。著書『ロレンス 存在の闇』(小沢書店 1983)『評伝 D. H. ロレンス』(全3巻、小沢書店 1992-94/第8回和辻哲郎文化賞・一般部門)『村上春樹と日本の「記憶」』(新潮社 1999)『ロレンス游歴』(みすず書房 2013)、訳書『コンラッド短編集』(ちくま文庫 2010)『ロレンス短編集』(ちくま文庫 2010)ラスキン『ヴェネツィアの石』(編訳、みすず書房 2019)。

ISBN:9784622087182
出版社:みすず書房
判型:A5
ページ数:456ページ
定価:6000円(本体)
発行年月日:2019年03月
発売日:2019年03月15日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:AM
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:1KB
国際分類コード【Thema(シーマ)】 3:1D