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音と意味についての六章

新装版

著:ロマーン・ヤーコブソン
序:クロード・レヴィ=ストロース
訳:花輪 光

紙版

内容紹介

「音素、近親相姦の禁止といった観念が、どれほど混質的であろうと、わたしがこの後者についていだくようになった考え方は、言語学者たちによって前者に与えられた役割から想を得ているのである。固有の表意作用はもたないが、表意作用を形成する手段となる音素と同様、近親相姦の禁止は、別個のものと見なされる二つの領域のつなぎ目をなすとわたしには思われた。こうして、音と意味との文節に、他の平面で、自然と文化との分節が対応することになったのである。」(レヴィ=ストロース「序」)

亡命学者によりニューヨークに創設された「高等学術自由学院」における1942年の講義。音素の観念、弁別特性の理論をめぐって展開され、ヤーコブソン音韻論の入門書であり、最適な音韻論思想史となっている。聴講したレヴィ=ストロースがその発想の原点とし、構造人類学を生み出した書。

目次

序  クロード・レヴィ=ストロース

I  調音音声学と音響音声学
II 音韻論の誕生
III 音素の特殊性
IV 音素は弁別特性の束である
V 能記ははたして線的か
VI 言語記号は恣意的か

訳者あとがき

著者略歴

著:ロマーン・ヤーコブソン
1896-1982。モスクワに生れる。ラザレフ東洋語学院、モスクワ大学大学院を卒業。1915年モスクワ言語学集団を創設。1920年チェコスロヴァキアに移り、マサリック大学においてロシア語学などを講ずる。1926年プラーグ言語学集団の創設に参加し、トゥルベツコイを援けて活躍。1939年ナチスの侵入にあって、デンマークとスウェーデンに2年間滞在し、それからアメリカへ移る。1942-46年ニューヨークのEcole Libre des Hautes Etudesで教鞭をとり、その間にレヴィ=ストロースと相知る。ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学の教授を兼任。両大学名誉教授。業績は多方面にわたるが、その集成としてSelected Writings of Roman Jokobson (The Hague: Mouton,1962-2013)がある。邦訳は、『音声分析序説』(1965、研究社)『一般言語学』(1973、みすず書房)など多数。
序:クロード・レヴィ=ストロース
1908年11月28日ベルギーに生まれる。パリ大学卒業。1931年、哲学教授資格を得る。1935-38年、新設のサン・パウロ大学社会学教授として赴任、人類学の研究を始める。1941年からニューヨークのニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチで文化人類学の研究に従事。1959年コレージュ・ド・フランスの正教授となり、社会人類学の講座を創設。1982年退官。アカデミー・フランセーズ会員。2009年10月30日、100歳で逝去
訳:花輪 光
1932年、山梨県に生れる。1955年東京教育大学文学部仏文科卒業。1959年同大学大学院博士課程中退。元筑波大学文芸・言語学系教授。1999年歿。著書『ロラン・バルト』(1985、みすず書房)。訳書 B・パンゴー『カミュの《異邦人》』(1975、審美社)、P・コニー『自然主義』(共訳、1957、白水社)、R・バルト『新=批評的エッセー』『物語の構造分析』『文学の記号学』『明るい部屋』『言語のざわめき』『記号学の冒険』(1977、1979、1981、1985、1987、1988、みすず書房)、E・バンヴェニスト『一般言語学の諸問題』(共訳、1983、みすず書房)、R・ヤーコブソン『音と意味についての六章』(1977、みすず書房)ヤーコブソン他『詩の記号学のために』(編著・共訳、1985、書肆風の薔薇)、G・ジュネット『物語のディスクール』(共訳、1985、書肆風の薔薇)、L-J・カルヴェ『ロラン・バルト伝』(1993、みすず書房)ほか。

ISBN:9784622086154
出版社:みすず書房
判型:4-6
ページ数:176ページ
定価:2800円(本体)
発行年月日:2017年05月
発売日:2017年05月18日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:VSL
国際分類コード【Thema(シーマ)】 2:DS