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心理療法論

新装版

著:C・G・ユング
編訳:林 道義

紙版

内容紹介

人間の心についてのユングの独創的な洞察は、精神科医ないし心理療法家としての実践の中から生み出された。心理療法は生身の人間に全体として関わるものであり、療法家と依頼者とが全人格をかけて関わり合う作業である。そこでは療法家の人格全体が問われることにならざるをえず、ユングのいう療法家の「世界観」が試されることになる。

本書は、心理療法上の基本的な問題についてユングが論じたものの中から、とくに重要な6論文を訳者が選んで一書としたものである。狭い意味での心理療法に限らず、世界観や倫理的な問題、また政治と心理療法の関係などのテーマにも目配りがなされている。なぜ夢に注目するのか、フロイトやアードラーとの違い、若い療法家へのアドバイス。これは「心理療法とは何か」を広い視野で、ユング自らが語ったものなのである。ユングの心理療法の原点を知るのに最適の書といえよう。
[1989年2月初版]

目次

1 臨床的心理療法の基本
2 心理療法の目標
3 心理療法と世界観
4 心理学から見た両親
5 分析心理学における善と悪
6 ナチズムと心理療法

訳注
編訳者あとがき

著者略歴

著:C・G・ユング
1875年7月26日、スイス北部のケスヴィルにて生まれる。バーゼル大学卒業後、ブルクヘルツリ病院のブロイラーのもとで言語連想実験の研究に従事。その後、フロイトの精神分析運動に参加し、フロイトの後継者と目されるほど、その中心人物として精力的に活動した。1913年にフロイトと決別。その後は独自の心理学の構築に専心し、「コンプレクス」「元型」「集合的無意識」「無意識の補償機能」「内向/外向」「個性化」などの独創的な理論を提唱していった。1961年6月6日、死去。20世紀最大の心理学者の一人。
編訳:林 道義
1937年長野県に生れる。1962年東京大学法学部卒業。1968年同大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士。元東京女子大学教授。著書『ユング』(清水書院、1980)『ユング心理学の応用』(みすず書房、1988)『ユングの心理学と日本神話』(名著刊行会、1995)『父性の復権』(中公新書、1996)『主婦の復権』(講談社、1998)『図説ユング』(河出書房新社、1998)『ユング思想の真髄』(朝日新聞社、1998)『フェミニズムの害毒』(草思社、1999)『母性の復権』(中公新書、1999)『母性崩壊』(PHP研究所、1999)『ユング心理学入門 I-III』(PHP研究所、2000)『家族破壊』(徳間書店、2000)ほか。訳書 ウェーバー『政治論集』1(共訳、1982)ユング『タイプ論』(1987)『ヨブへの答え』(1988)『心理療法論』(1989)『個性化とマンダラ』(1991)『連想実験』(1993)『転移の心理学』(共訳、1994、以上みすず書房)『元型論』増補・改訂版(1999)ノイマン『意識の起源史』(全2巻、1984-85、以上紀伊國屋書店)。

ISBN:9784622085478
出版社:みすず書房
判型:4-6
ページ数:168ページ
定価:2800円(本体)
発行年月日:2016年08月
発売日:2016年08月27日
国際分類コード【Thema(シーマ)】 1:VSP