他の岬
新装版
ヨーロッパと民主主義
著:ジャック・デリダ
他訳:高橋 哲哉
解説:國分 功一郎
紙版
内容紹介
〈いまヨーロッパを悩ませているテロリズムの背景には、ヨーロッパがもたらした価値そのもの――もちろん民主主義を含む――に対する強烈な拒絶反応がある。「ヨーロッパは岬に過ぎない」という言明も、そうした反応の中ではおそらく、謙遜を装った傲慢な言葉として受け止められるであろう。デリダにはそうした可能性が十分に分かっていたはずである。だからこそ彼はl’autre cap(別の岬、別の方向性)と言うだけでは不十分であり、le cap de l’autre(他者の方向性)と言うだけでも不十分であり、capの論理を超え出て、l’autre du cap(キャップとは異なるもの、キャップの他者)にまで至らねばならないと述べていたのである。〉(國分功一郎)
ソ連・東欧の崩壊後、噴出するナショナリズムと人種主義の暴力が統合を進めるヨーロッパに暗雲を投げかけていた1993年に刊行された本書は、二十数年を経た現在、まさに必読書として蘇った。ヨーロッパの難民問題とテロ、日本の民主主義の危機について、本書を通して新たに考えたい。
目次
今日
他の岬 記憶・応答・責任
日延べされた民主主義
訳者あとがき
解説――二重の義務(國分功一郎)